将棋教室の書き込み転載です。
そのうち図も載せて整備する予定です。(笑)
将棋講座の基本はこちら
飛車を並べたままの位置で使う事を居飛車(いびしゃ)と言います。先手、後手共に居飛車で戦う戦型を相居飛車、そしてその中で先手が1手目に▲2六歩と飛車先を突き、後手も同じく▽8四歩と飛車先を突いて行く戦型を相掛り(あいがかり)と呼びます。また、このような出だしを相掛り模様の将棋という言い方をします。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金
▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩
この手順中、先手の5手目▲7八金でなぜすぐに▲2四歩と突いて行かないか。これは実は将棋の入門書には必ずと言って良いほど解説されていますが、省く訳にも行きませんので簡単に説明しておきます。
5手目に▲2四歩と行くと以下 ▽同歩 ▲同飛の時に▽8六歩と突かれ▲同歩なら▽8七歩と打たれ ▲2三歩打 ▽8八歩成 ▲同銀 ▽3五角打と先に取られた角で浮いた飛車を狙われ、先手が不利になります。
「図2」
先手が▲8六同歩と取った時に一歩持っているので▽8七歩と打てるのです。そこで▲7八金と角頭を守り、後手も▽3二金とした時に▲2四歩と突きます。
以下図1まで進んだ後、先手が飛車を2八に引くか、2六に引くかでまた戦型が分かれて行く事になります。
互いに居飛車で戦う将棋の中で、先手が▲7六歩と角道を開いて始まる戦型に矢倉と言う戦法が有り、そのような出だしを矢倉模様と言います。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩
5手目の▲6六歩では▲7七銀とする場合が有り、昔はそちらが多かったのと、その手の方が先手側の矢倉がほぼ決定的となるのですが、今はこの▲6六歩の方が多く指されるようになっています。ただしこの場合は、先手が他の戦型になる可能性が有ります。ただ居飛車にするなら、この▲6六歩からも矢倉になるのが普通です。
「図2」
「図2」の玉の囲いを、矢倉囲いと呼び この玉の守り方を互いに目指すのが相矢倉の将棋と言います。矢倉にはこの形とは別の囲い方も有りますが、この”金矢倉”が最も一般的です。
先手が▲7六歩と角道を開ける所からスタートする相居飛車戦に、序盤から角を交換して互いに角を持ち合って駒組みをして行く戦型が有ります。
これを角換り(かくがわり)の将棋と言います。
図までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲2六歩 ▽3二金 ▲7八金
▽8五歩 ▲7七角 ▽3四歩 ▲8八銀
▽7七角成 ▲同 銀
後手の▽8四歩に今度は先手が▲2六歩と飛車先を突いて行くと前回の矢倉とは別の展開になり、
この角換りになる事が多いのです。そうです戦型の選択権は例外は有りますが、基本的には先手に有るのです。
角換りの場合はこの手順とは違うルートも有りますし、実際に後手の10手目 ▽7七角成と角を交換する手では▽4四歩など、
これを避ける手も有るので、先後共に了解済みで決定される戦型と言えます。
上の図から以下 ▽4二銀 ▲3八銀 ▽7二銀 と言った進行などが普通の流れですが、他にも変化が有り、
またこの手順でも多彩な戦型に分かれ、少し戦法としては高度で難解な物となります。
相居飛車の戦型の序盤基本型として、横歩取り模様と言う物が有ります。▲7六歩と先手が角道を開けた時に、後手が▽8四歩では無く、同じく▽3四歩と角道を開けた場合に、この戦型になる可能性が有るのです。
図までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛
「後手の2手目の▽3四歩に対して居飛車の意思表示の▲2六歩、そして後手も▽8四歩と居飛車で来た場合、
左図のような展開になります。ここで▽2三歩打ならば飛車を引かずに▲3四飛と横に有る後手の歩を取ると言うのが”横歩取り戦法”です。
角道を開けた事によって相掛りの時と違い、後手の3四の歩が浮いているのを狙ったと言う訳です。
ただし後手側も相掛りと違い▲2三歩打とされても角は死なないので、今はここで▽2三歩打では無く ▽8六歩 ▲同歩 ▽同飛 と同様に飛車先を切って来る手順が多くなっています。
▽2三歩打 ▽8六歩からの飛車先交換のどちらの場合も、先手が横歩を取るか取らないかは先手の選択に任せられることになります。
しかし実戦では取る方が気合い負けをしないと言う意味で多いようです。
4手目の▽8四歩までの出だしが横歩取り模様と呼ばれています。
今まで先手、後手共に飛車を最初に並べたままの位置で使う戦型の組み方を紹介して来ましたが、序盤に飛車を横の別な場所に移して戦う方法が有ります。
これを振り飛車(ふりびしゃ)と呼びます。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽4四歩 ▲2五歩 ▽3三角
▲4八銀 ▽4二飛
前回の横歩取りの時と同じく ▲7六歩に後手が▽3四歩と角道を開けますが、次の▲2六歩に▽4四歩と角道を止めて来る手順が振り飛車模様となります。もちろん絶対と言う訳では無いですが、可能性は高いと言えます。なぜかと言えば振り飛車にする時は相手の飛車先の歩交換を、▽3三角と上がり角で2筋を受けて防ぐ形になるので、この時に角交換されない為です。
「図2」
「図2」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽8四歩 ▲6八飛 ▽8五歩 ▲7七角
後手が▽3四歩としたのに対し、先手が▲6六歩と3手目に角道を止めて振り飛車を目指したのが「図2」の局面です。
先手の場合は後手が2手目に▽8四歩でも、後手の場合は先手の1手目が▲2六歩でも、振り飛車にする事が出来ます。
「図1」「図2」は共に四間飛車(しけんびしゃ)と呼ばれる代表的な戦型です。
序盤の形の最後として、互いに飛車を横に振る相振り飛車を紹介します
図までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲6六歩 ▽3五歩 ▲6八飛 ▽3二飛
前回の先手が振り飛車を目指して▲6六歩と角道を止めた時に、▽3五歩と角道を開けた3四の歩を更に伸ばしたのが、
後手も振り飛車を目指す戦型相振り飛車の代表的な手順です。 この他に▽4四歩と先手と同型に進むなど、形としては多種有りますし、互いに飛車を振る場所もいろいろです。
将棋の戦型の中では比較的決まった定跡と言った物が少ない未開拓な分野と言える物で、実戦例も多く有りませんが面白い戦型と言えます。
これで先手、後手の初手から戦型の分かれる基本的な形を終ります。しかし将棋は無限の可能性が有る知的で最高のゲームです。
もちろん紹介した他に例外も有りますが、それはまた進行の中でと言う事で、それでは以上基本の6パターンを念頭に置いて頂いて、
いろいろな戦法の狙い筋がどんな物なのかを、次回から順次紹介して行きたいと思います。
今回から、いろいろな戦法の狙い筋が見事に決まる局面を紹介します。
まず将棋の戦法として基本中の基本と言える”棒銀(ぼうぎん)戦法”からスタートします。
この戦型にも相掛り型と、角換り型それに対振り飛車型などが有りますが、今回は互いに飛車先を突き合う相掛り型で、棒銀の理想的成功局面をお見せいたします。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金
▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩
▲2八飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩
▽8二飛 ▲3八銀 ▽6二銀 ▲2七銀 ▽5二金
▲3六銀 ▽4一玉 ▲2五銀
序盤の形1の相掛り型から、先手が飛車を▲2八飛と深く引く手を選び、真っ直ぐ飛車先に銀が出て行くのが棒銀
と呼ばれる戦法です。実はこの「図1」は既に先手必勝の局面になっています。
[2014/03/03 19:09:03] kirakira@hibiki: 「図1」から「図2」までの手順
▽5四歩 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽2三歩
▲同銀成 ▽同 金 ▲同飛成
2四まで進出してきた銀を▽2三歩と打って撃退しようとしても、2三に利いている駒の数が、先手側が飛車と銀の2枚、
後手側が金1枚と先手側が多いので▲同銀成と取られてしまい、以下▽同金 ▲同飛成と「図2」まで相手の角頭に龍を作り必勝となりました。
これが棒銀の攻めが成功した理想的な局面です。 この狙いを完全に受け切ると言うのは意外に大変で、飛車を2八に引いて銀を3六まで出て行くと言うこの手順は、
以前は”原始棒銀”と言われ、初心者専用の戦法だったのですが、
最近ではプロ間でも指されています。もちろん簡単にこの理想的攻撃が決まると言う訳にはプロの場合は行かないですが、
この狙いを含みに相手の駒組みを牽制すると言う闘い方をしています。
[2014/03/03 19:11:25] kirakira@hibiki:
序盤の形5の振り飛車の中で、飛車を先手なら5八、後手なら5二に振る形を”中飛車(なかびしゃ)戦法”と呼びます。
今回は1手目でいきなり飛車を振ると言う、基本の6パターンからは外れる原始中飛車と呼ばれる初心者向きの中飛車を見て頂くとしましょう。
[2014/03/03 19:12:19 | 19:14:15を削除しました] kirakira@hibiki: このメッセージは削除されました
[2014/03/03 19:14:21] kirakira@hibiki:
▲5八飛と振った後、前回の棒銀と同じく銀が飛車先に出て行き、後手も中央を守りに出た結果、銀がぶつかり合って「図1」となりました。
この局面も先手の必勝となっています。
「図1」から「図2」までの手順
▲5四歩 ▽4四銀 ▲5三銀 ▽同銀引
▲同歩成 ▽同 銀 ▲5四歩 ▽6二銀
▲5三銀 ▽同 銀 ▲同歩成
「図2」
▲5四歩から5三に銀を打って行き、以下「図2」まで見事5筋を破って、先手の必勝となりました。
この例のように歩の上に駒を打ちこんで行く手筋は、俗に”重い手”と言われ、上手く行かない事も有るのですが、
▲5三銀打が王手なので、▽5二歩打と受ける事がが出来ず成立しています。
1手目に▲5八飛(後手なら▽5二飛)と回ったり、 先に▲5六歩(5四歩)と突いてから2手目に中飛車にすると言う手は、前回の棒銀同様に初心者専用だったのですが、
最近はプロでも指されるようになりました。
無論この例のように角道も開けず、単純に銀を繰り出して行く形では無く、戦型としては全く違いますし、 ▲7六歩から同じ戦型に持って行く事の方が多いのは確かですが、
昔ならほとんど有り得なかった事です。そのプロ間で指される新型中飛車の紹介は、いずれまたと言う事で。
[2014/03/03 19:17:01] kirakira@hibiki: 棒銀、中飛車と言う、将棋を覚えて行く上で必ず遭遇する戦法を見て頂きましたが、
この二つの例は超急戦の指し方で、これだけで間単に勝てれば良いのですが将棋はそんなに甘く無く、 本格的な戦型、そして駒組みには良い形を築く基本の原則が有ります。
「図1」を見て頂いて、先手と後手どちらが良い形に見えるでしょうか。先手の形が好形と見えた方は良い感覚だと思います。
先手は将棋の3大原則を全てクリアしています。逆に後手は全ての点で原則に適っていません。それでは3大原則とは
1.飛車と玉は反対側に
2.玉の囲いは金銀3枚
3.攻めは飛角銀桂(時に香も)
[2014/03/03 19:19:05] kirakira@hibiki:
まず1は攻めの主力で有る飛車の近くは当然主戦場になるので、玉が足手まといになり、闘い辛く戦力が半減してしまう為です。
そして2は詰まされたら(逃げ場が無くなったら)負けになってしまう大事な玉を、相手の攻めから守る城と言える囲いの事です。
「図1」の先手の守りが振り飛車の玉囲いとして最も良く使われる”美濃囲い”(みのがこい)と言う非常に堅固で優秀な陣形です。
そして3は攻撃に使われる駒として、飛車と角の最強の大駒2つと、囲いに使われた銀と反対側の銀、
それと飛車側の桂(場合によって香も)を全て攻撃配置につかせる事が出来れば理想的な攻撃陣になります。
「図1」の先手の攻撃陣は”石田流三間飛車”(いしだりゅうさんげんびしゃ)と呼ばれる、振り飛車の中で左から3筋目に飛車を振る三間飛車の発展形で、
正に飛角銀桂が全て活用できる理想形とも言える戦型です。
[2014/03/03 19:20:08] kirakira@hibiki: 先手の戦型は対振り飛車の”居飛車穴熊”(いびしゃあなぐま)と言います。
金銀4枚を囲いに使い、攻撃力の不足を強靭な守備力で補う戦法です。
後手の戦型は”ツノ銀中飛車”と呼ばれる本格的な中飛車戦法です。
金銀が左右に分断されて玉の囲いは弱まりますが、全体的な守備力に優れ、隙の無いバランスの良さが特徴です。
どちらもかなり高等な戦法となります。初心者の方には指しこなすのは難しいと思いますので、最初は2と3を基本としてください。
[2014/03/03 19:35:46] kirakira@hibiki:
将棋の戦法を大きく分けると居飛車と振り飛車の2つに分かれる事は、序盤の形として御紹介しましたが、
駒組みの3大原則に添ったそれぞれ代表的な戦法を一つずつ”駒組み編”と”戦闘編”に分けて解説いたします。
本格戦型の為、初心者の方には少し難しいかも知れませんが、ここではまだ手筋など全てを理解すると言う必要は有りません。
ただこんな手順で駒組みを進めて行き、こんな闘い方をすると言った事だけを知って頂ければ、現時点では充分です。
では、まず居飛車の代表的戦型として、序盤の形2で御紹介しました矢倉(やぐら)戦法から解説して行く事にいたします。
[2014/03/03 19:36:25] kirakira@hibiki: 「図1」までの手順
▲7六歩 ▽8四歩 ▲6八銀 ▽3四歩 ▲6六歩
▽6二銀 ▲5六歩 ▽5四歩 ▲4八銀 ▽4二銀
▲7八金 ▽3二金 ▲5八金 ▽4一玉 ▲6七金右
▽5二金 ▲6九玉 ▽7四歩 ▲7七銀 ▽3三銀
▲3六歩 ▽4四歩 ▲7九角 ▽3一角
矢倉は将棋の戦法の中でも最も変化が多く、この「図1」までの手順も途中で多数の変化が発生しますが、
この局面が先後共に相矢倉として普通に進んだ形で実戦例も多い局面です。
ここから更に無限とも言える変化が有りますが、矢倉を完成するまでの1例としての駒組み手順を、御紹介します。
「図1」から「図2」までの手順
▲3七銀 ▽4三金右 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲同 角
▽3四歩 ▲2六角 ▽4二角 ▲3六銀 ▽3一玉
▲7九玉 ▽2二玉 ▲8八玉 ▽6四歩 ▲4六歩
▽6三銀 ▲3七桂 ▽7二飛 ▲1六歩 ▽9四歩
▲9六歩 ▽1四歩 ▲4八飛 ▽7五歩 ▲同 歩
▽同 飛 ▲7六歩 ▽7二飛
[2014/03/03 19:36:58] kirakira@hibiki:
初手からここまで手数は長いですが、途中の手順は別として完成した玉の形を覚えてください。
相手の最強の駒で有る飛車に対して非常に堅固な守りとなるこの陣形が”矢倉囲い”です。
攻撃側は多数の戦型の一つですが、玉の囲い方は多少手順の前後は有るでしょうが、だいたいこんな組み上げ方をして行く物なので、
囲い完成までの過程を是非ご記憶ください。
一つだけ補足しますと、途中▲1六歩 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽1四歩と互いに端の歩を突き合っていますが、
囲いの端は玉が広くなるので突いた方が得ですが、実は矢倉には端に絡んだ攻め筋が多数有る為に、端を突かれても受けて突く事は少ないのです。
この局面では互いに端を攻められる形では無いので受けていると思ってください。もし序盤に突かれたら受けない方が良い場合が多いのです。
その訳は後で、その実例を見て頂きます。
[2014/03/03 19:39:50] kirakira@hibiki:
それでは駒組み編の「図2」から、先手が一気に後手の固い矢倉囲いを木っ端微塵に粉砕する所を見て頂きましょう。
[2014/03/03 19:41:15] kirakira@hibiki: 「図1」
「図1」は駒組み編の「図2」と同一局面です。ここまでの手順は前章の駒組み編を見てください。
この先手側の攻撃陣は”矢倉崩し”と呼ばれる矢倉に対する理想的な攻撃形の一つです。 そして陣形全体も9章の駒組み3大原則を全てクリアしている事を確認してください。
「図2」
「図1」から「図2」までの手順
▲4五歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 銀 ▲4五銀
▽同 銀 ▲4四歩 ▽5三金 ▲4五桂 ▽5二金
▲6一銀 ▽8二飛 ▲5二銀成 ▽同 銀
▲4三歩成 ▽同 金 ▲5三桂成
「図2」までとなって先手の必勝となります。ここまでの手順で重要なポイントとして▲4五歩 ▽同歩と取った時に▲4四歩と打つ手筋です。
この手で単に▲同銀と取ると▽4四歩と受けられ以下▲同銀 ▽同銀
▲同角 ▽同金 ▲同飛と攻めても▽4三銀と受けられ思ったよりうまく行かないと言う事です。 失敗例として「図3」に示しておきます。
「図3」
[2014/03/03 19:41:49] kirakira@hibiki:
矢倉戦において端歩が重要な意味を持つ事は駒組み編でも言いました。それでは序盤に端歩を受けるとどんな危険が有るか、
戦闘編[2]ではそれを咎める代表的な戦法を見て頂く事にします。
[2014/03/03 19:42:25 | 19:47:25を削除しました] kirakira@hibiki: このメッセージは削除されました
[2014/03/03 19:47:56] kirakira@hibiki: 「図1」
「図1」は駒組み編の「図1」と同型です。ここまでの手順は前章同様10章の駒組み編を見てください。
「図1」から「図2」までの手順
▲3七銀 ▽4三金右 ▲1六歩 ▽1四歩
▲6八角 ▽4二角 ▲7九玉 ▽3一玉
▲8八玉 ▽2二玉 ▲2六歩 ▽6四歩
▲2五歩 ▽6三銀 ▲2六銀 ▽7二飛
[2014/03/03 19:48:24] kirakira@hibiki:
”矢倉崩し”では▲3五歩と歩の交換に出ましたが、▲1六歩 ▽1四歩と端歩の突き合いが入った場合、 別の攻め筋が発生します。
「図2」を見て気がついた方もいると思いますが、▲2六銀と繰り出す棒銀戦法の再登場です。 ただし矢倉棒銀の狙い筋は全く違います。
「図2」から「図3」までの手順
▲1五歩 ▽同 歩 ▲同 銀 ▽同 香 ▲同 香
▽1三歩 ▲1七香 ▽1二銀 ▲1八飛 ▽7五歩
▲1三香成 ▽同 銀 ▲同香成 ▽同 桂
▲同角成 ▽2一玉 ▲1二銀
「図3」
「図3」で後手玉は詰んでゲームセットとなりました。 もちろんこれはすべて素直に応じた結果ですので、この局面になる前に変化するとは思いますが、
どう変化しても▲1五歩と仕掛けた局面からは先手優勢です。
ここでのポイントは▽1五同歩に▲同銀と銀で歩を取り返して行く事です。 矢倉に限らず棒銀の別の狙い筋が、この端攻めです。
あまり早く端を受けると、この棒銀が有るため端を突かれても受けない方が安全なのです。 俗に”矢倉囲いに端歩は突くな”と言われる理由です。
[2014/03/03 20:33:49] kirakira@hibiki: 序盤で横に飛車を振る戦型として、8章で原始中飛車を紹介しましたが、
本格的な振り飛車では序盤の形5で見て頂いた出だしで駒組みを進めて行く事になります。 その中で最も多く指されている振り飛車として、
6章の例として使った左から4筋目に振る”四間飛車戦法”を矢倉と同じ”駒組み編”と”戦闘編”に分けて解説して行く事にいたします。
振り飛車は後手番の時に使われる事が多いので、今回は後手側で四間飛車を指す形で解説します。 それを先手番で使う事も容易に可能だからです。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽3四歩 ▲2五歩 ▽3三角 ▲7六歩
▽4四歩 ▲4八銀 ▽4二飛 ▲5六歩 ▽3二銀
▲6八玉 ▽6二玉 ▲7八玉 ▽7二玉 ▲5八金右
▽8二玉 ▲3六歩 ▽7二銀 ▲9六歩 ▽9四歩
[2014/03/03 20:34:44] kirakira@hibiki:
居飛車側の対振り飛車作戦は多数有りますが、この時点の先手の陣形を”船囲い(ふながこい)”と呼び、
▲3六歩と突いた手により急戦策を取る意思表示の可能性が高いと言える戦型です。
端の歩は 狙う戦型によっては受けない方が良い事も有りますが、矢倉と違い序盤で受けると拙いと言う事は有りません。
特に本局面のように急戦になりそうな時は、突かれたら受ける方が得です。
「図1」から「図2」までの手順
▲6八銀 ▽5二金左 ▲5七銀左 ▽4三銀
[2014/03/03 20:35:37] kirakira@hibiki: 、 「図2」
この「図2」の先手の戦型が”5七銀左型”と棋譜のまま呼び名になっている対振り飛車急戦型の最もポピュラーな陣形です。
それに対して5七銀右と上がる戦型も有ります。後手玉の囲いは9章でも御紹介した”美濃囲い”です。
居飛車の▲5七銀左に振り飛車側の▽4三銀は、角の頭の守備を強化して居飛車側の▲3五歩(▽同歩なら▲4六銀)と言う”ナナメ棒銀”に備えた物です。
5七銀左型の狙いの一つが、このナナメ棒銀と言う戦法で、通常の棒銀に比べて2四の地点を目指し斜めに銀が進むのでこう呼びます。
この局面に至って、振り飛車を指す場合、序盤で角交換を避けるためになぜ角道を止めるか、御理解頂けるかと思います。
[2014/03/03 20:36:06] kirakira@hibiki: 「図3」
もし序盤で角交換されて▽同桂と取った形になっていたら、同じ局面まで進んだ時 ▲2四歩 ▽同歩 ▲同飛と交換されて不利になります。
あくまで仮想図ですが「図3」として示しておきます。
それでは「図2」からは”戦闘編”で
[2014/03/03 22:03:06] *** 涼宮 ハルヒが居飛車図1.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:03:15] *** 涼宮 ハルヒが居飛車図2.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:04:18] 涼宮 ハルヒ: 相掛かりと名前直してください(笑)
[2014/03/03 22:06:29] 涼宮 ハルヒ:
https://www.dropbox.com/s/nuiipqb76gureqn/%E7%9B%B8%E6%8E%9B%E3%81%8B%E3%82%8A%E5%9B%B3%EF%BC%91.kif
[2014/03/03 22:06:38] 涼宮 ハルヒ:
https://www.dropbox.com/s/ffhgim61pqu723r/%E7%9B%B8%E6%8E%9B%E3%81%8B%E3%82%8A%E5%9B%B3%EF%BC%92.kif
[2014/03/03 22:22:38] *** 涼宮 ハルヒが横歩取り図.kif 横歩取り図.kif 横歩取り図.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:22:53] *** 涼宮 ハルヒが矢倉図1.kif 矢倉図1.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:22:57] *** 涼宮 ハルヒが矢倉図2.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:23:04] *** 涼宮 ハルヒが四間飛車図1.kif 四間飛車図1.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:23:13] *** 涼宮 ハルヒが四間飛車図2.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:23:21] *** 涼宮 ハルヒが相振り飛車図.kif 相振り飛車図.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:23:34] *** 涼宮 ハルヒが相掛かり戦法図1.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:24:02] *** 涼宮 ハルヒが相掛かり戦法図2.kifを送信しました ***
[2014/03/03 22:24:22] 涼宮 ハルヒ:
https://www.dropbox.com/sh/ldutsy24e70voj8/2oQvu_2j8T
[2014/03/03 22:24:44] 涼宮 ハルヒ: 長いので、ここで中断(笑)
[2014/03/03 22:25:00] 涼宮 ハルヒ: 続きは明日掲載しますw
[2014/03/03 22:25:13] 涼宮 ハルヒ: キラキラさんも説明待ってねw
[2014/03/03 22:25:38 | 22:30:24を編集しました] 涼宮 ハルヒ: と言うか、これにコメント入れた方が分かり易くないかな?w
[2014/03/03 23:40:33] 莉 たろ: 見れません
[2014/03/03 23:41:40] 涼宮 ハルヒ: ココアに聞いてw
[2014/03/03 23:41:59] 涼宮 ハルヒ: Kifu for Androidをインストールしておいてと言ったよね
[2014/03/03 23:42:05] 涼宮 ハルヒ: それを使うんだ
[2014/03/03 23:42:19] 莉 たろ: アプリですか?
[2014/03/03 23:42:29] 涼宮 ハルヒ: そそ
[2014/03/04 6:58:01] kirakira@hibiki: ”振り飛車には急戦を狙え”と言う将棋格言が有ります。
最近では居飛車側も玉を固める9章で御紹介した居飛車穴熊などが有り、対振り飛車の持久戦手段も多くなりましたが、 急戦が有力な対抗策で有る事に変わりはありません。
[2014/03/04 6:58:39] kirakira@hibiki:
「図1」は前章の駒組み編「図2」と同一局面です。ここまでの手順はやはりそちらを見て頂く事として、
ここから先手が仕掛ける手順を進めて行きますが、今回は四間飛車側の解説なので居飛車の急戦に見事に応戦して有利に導いて行くまでを御紹介します。
「図1」から「図2」までの手順
▲3八飛 ▽3二飛 ▲3五歩 ▽同 歩 ▲4六銀
▽4五歩 ▲3三角成 ▽同 飛 ▲3五銀
▽3七歩 ▲同 飛 ▽2八角 ▲3四歩 ▽3二飛
▲3六飛 ▽1九角成 ▲3七桂 ▽1八馬
▲2六飛 ▽3四銀 ▲同 銀 ▽同 飛
[2014/03/04 6:59:05] kirakira@hibiki: 四間飛車に対する急戦策として、角頭を狙うと言うのは有力な仕掛けです。
そして攻められそうな場所に飛車を予め持って行くと言うのが四間飛車、と言うより振り飛車側の常套手段となります。
▲4六銀と攻め駒に銀の援軍を送って来た瞬間に▽4五歩とカウンターを放つのが第二弾の迎撃法で、
角を交換して▲3五銀と進出した時に▽3七歩と打ったのが優勢を決定づける決め手となります。
飛車を逃げると銀が取られるので▲同飛と取る一手ですが、以下「図2」まで、駒得で馬を作った上に飛車の働きにも大きな差が有り、後手優勢の局面です。
▲3五歩 ▽同歩に▲4六銀とせず 単に▲同飛と飛車で歩の交換をするのは▽2二角が好手で、▲3二飛成と飛車交換する一手となり▽同銀で「図3」
「図3」
この局面も四間飛車側に飛車を打ち込む隙が全く無いのに比べ、居飛車側には2七或いは2八など飛車打ち込みの隙が多く、
やはり後手優勢となります。”飛車交換は振り飛車有利”と言うのが急戦の場合は定跡となっています。
[2014/03/04 7:01:07] kirakira@hibiki:
対振り飛車の急戦策として”振り飛車には角交換を狙え”と格言で言われる仕掛けが有ります。
これは13章駒組み編の仮想図「図3」のような局面を実現するのが狙いの戦型です。
[2014/03/04 7:01:54] kirakira@hibiki:
前章同様の「図1」から居飛車側が角交換を狙って▲4六歩と突いて行く、もう一つの有力急戦策を採った場合を解説します。
この▲4六歩に▽5四歩のような手なら▲4五歩 ▽同歩 ▲3三角成 ▽同桂 ▲2四歩 ▽同歩 ▲同飛と言う手順が狙い筋です。
居飛車の成功例として「図2」に示しておきます。
「図2」
この「図2」は13章駒組み編の仮想図「図3」とほとんど同一局面です。
この後▽2二歩打でも▲3一角打で2筋突破となり先手優勢です。
ただし▲4五歩に▽同歩と取らずに▽6四歩と手待ちする手が有り、それはそれで難解な将棋となりますが、 今回はこれとは別の手段を解説します。
「図1」から「図3」までの手順
▲4六歩 ▽5四銀 ▲3七桂 ▽6五銀 ▲4五歩
▽7六銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲4四歩 ▽同 角
▲同 角 ▽同 飛 ▲7七歩 ▽8七銀成 ▲同 玉
▽8四飛 ▲8六銀 ▽6四角 ▲9七角 ▽9五歩
▲同 歩 ▽9六歩 ▲同 玉 ▽8六角 ▲同 角
▽8五銀 ▲8七玉 ▽8六銀 ▲7八玉▽8七銀成
「図3」
▽5四銀で▲4五歩を防ぎ、▲3七桂と先手が戦力を増強して来た時に▽6五銀と進出して行きます。
これを”玉頭銀(ぎょくとうぎん)”と呼び、振り飛車が時によって採用する手段です。
以下予定通りに先手が角交換を狙って行きますが、▽8七銀成から飛車を8筋に転回して「図3」まで、後手必勝の局面となりました。
前章も含めて振り飛車の場合、攻めると言うより駒を効率良く交換したり、働きの良い場所に持って行くような指し方をします。
これを”駒を捌く(さばく)”と言います。またこの捌くと言う性格上、 振り飛車の陣形は3大原則の3 攻めは飛角銀桂と言う理想形には序盤でなりにくいですが、
逆に飛車側の桂香が捌ければ優勢となる事が多いのです。
[2014/03/04 7:02:26] kirakira@hibiki: 以上、本格戦法の駒組みを6回にわたり解説しました。
初心者の方には少し難しかったかと思いますが、これから順次見て頂く戦法も基本的にはこの2戦法のように、
駒組みの3大原則に従って指し進めて行く物なので、解説する一手一手が何を目指しているのかが理解しやすくなると思い、
この時点で解説いたしました。ですから今の段階では、何となく分かった、と言う程度で構わないと思います。
次章からまた、いろいろな戦法の成功局面を分かりやすく御紹介して行きますので御期待ください。
[2014/03/04 8:16:31] kirakira@hibiki: 三間飛車の中の一つの理想形に”石田流三間飛車”と言う戦型が有る事は
9章「図1」の解説で御紹介しました。しかし居飛車側がこれを簡単には実現させてはくれませんので、 石田流本組を見る事は少ないのです。
”石田流”と言う名の由来は、 江戸時代の盲人棋客で石田検校と言う方が創案したと言われている戦法だからです。
今回は基本的には、この石田流を目指しつつ別の狙いを持った戦法の第一弾”早石田戦法”を見て頂きます。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩 ▲4八玉
[2014/03/04 8:17:20] kirakira@hibiki:
振り飛車は角交換を避けるのが定跡ですが、この早石田は▲7五歩とかまわず伸ばして行くのが特徴です。
さてこの局面は後手側にいろいろな手が有りそうですが、この隙だらけに見える陣形は本当に大丈夫なのでしょうか。 それでは、これから見て行くとしましょう。
「図1」から「図2」までの手順
▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲7四歩 ▽同 歩
▲2二角成 ▽同 銀 ▲9五角
「図2」
「図1」で、まず見える手は▽8六歩と飛車先の歩を突いて行く手ですが、
▲同歩 ▽同飛とした瞬間▲7四歩と突き▽同歩なら「図2」まで”目から火が出る王手飛車”となり先手の勝ち。
▲7四歩を取らなければ▲7三歩成と7筋が破れます。また▽6二銀と守るのは角交換の後、今度は▲7七角打で飛車銀両取りで先手の勝勢です。
「図1」から「図3」までの手順
▽8八角成▲同 銀 ▽4五角 ▲7六角 ▽3二金
▲3八玉 ▽6四歩 ▲4六歩 ▽7二角 ▲7七銀
「図3」
「図1」では角交換して▽4五角と打ち、 2七と6七の両成りを狙う手も当然有りそうですが、しかしこれには▲7六角と打つ返し技が有ります。
▽2七角成とするのは、先手も▲4三角成と桂取りで馬を作る手が有り、この角成りは先手に分が有るので▽3二金と防ぎますが、
▲3八玉で後手の角はどちらにも成れず、以下「図3」まで失敗に終ります。
[2014/03/04 8:17:55] kirakira@hibiki: と言う事で隙だらけに見えた先手陣でしたが、意外に潰れる事は有りません。
次章では後手が穏やかに進める手に対して、先手の方が激しく動いて行く早石田の骨子となる攻め筋を御紹介します。
[2014/03/04 8:18:39] kirakira@hibiki:
早石田の序盤の一見無防備に見える陣形に、居飛車側が仕掛けるのは無理筋で失敗に終りました。
今回は逆に先手側が急戦に持ち込む、早石田と言う名称本来の攻撃手順を御紹介します。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛
▽8五歩 ▲4八玉 ▽6二銀
[2014/03/04 8:19:06] kirakira@hibiki: 「図1」
「図1」は前章の「図1」の局面から▽6二銀と7筋の守備を固めた所です。
ここで先手が早石田戦法の狙いの攻め筋を展開して行きます。
「図1」から「図2」までの手順
▲7四歩 ▽同 歩 ▲2二角成 ▽同 銀
▲5五角 ▽7三銀 ▲7四飛
「図2」
▲7四歩 ▽同歩に角交換して▲5五角打 これで飛車銀両取りで決まったと思った瞬間、▽7三銀で見事に両取りを一挙に受け、 そこでまた▲7四飛と突撃。
▽同銀なら▲8二角成で飛車を取り返し馬を作って優勢、と言う狙いです。 とにかく派手に飛車角が飛び回ります。
「図2」から「図3」までの手順
▽6四角 ▲7三飛成 ▽5五角 ▲8二龍
▽同 角 ▲8三飛 ▽7二金 ▲8五飛成
▽9四角 ▲7五龍 ▽6四角 ▲6六龍
「図3」
[2014/03/04 8:19:36] kirakira@hibiki:
「図3」は冷静に見れば形勢不明と言う事になりますが、初級の方ですとこの手順のように最善に受けるのは難しいでしょうし、
また「図3」でも龍を作った先手を持つ方が指しやすいと思われる方が多いと思いますから、実戦で試してみるのも面白いのではないでしょうか。
[2014/03/04 15:45:14] 涼宮 ハルヒ:
https://www.dropbox.com/sh/ldutsy24e70voj8/2oQvu_2j8T
[2014/03/04 15:45:29] 涼宮 ハルヒ: このリンクからダウンロードできない人いますか?
[2014/03/04 15:45:42] 涼宮 ハルヒ: 全部のファイルをここに置く予定です
[2014/03/04 18:13:06] kirakira@hibiki: 石田流から別の狙いを持った戦型に発展して行く戦法第二弾として、
升田幸三実力制第四代名人の創案になる”升田式石田流戦法”を解説します。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩
▲4八玉 ▽6二銀 ▲3八玉 ▽6四歩 ▲7六飛 ▽8八角成
▲同 銀 ▽2二銀 ▲7七桂 ▽4二玉 ▲2八玉 ▽3二玉
▲3八銀 ▽7二金 ▲7八金 ▽6三銀
[2014/03/04 18:14:16] kirakira@hibiki: 早石田では後手の8手目▽6二銀に▲7四歩から超急戦の仕掛けに出ましたが、
最善に応接されると悪く無いまでも思ったほどの戦果も上がりませんでした。
そこで仕掛けは見送り、▲3八玉と寄って美濃囲いを目指します。
後手の▽6四歩は▲7四歩の防ぎです。これで▲7四歩と来られても、▽同歩 ▲同飛に▽6三銀で7筋は受かります。
この局面を「図2」に示しておきますので受けの形として御記憶ください。 ▽6四歩に対して▲7六飛と飛車を浮きます。これは後手に角交換の選択を迫る手となります。
▽8八角成とする手で▽6三銀などですと▲7七桂と跳ねて9章「図1」の石田流本組を目指す事が出来ます。
つまり先手に石田流の理想形を組ませない為には、ここで角交換するしか無いのです。
[2014/03/04 18:14:41] kirakira@hibiki:
その後▽2二銀と上がったのは、次に▲3六飛と3四の歩を狙う手が有るので、その時に▽3三銀の受けを用意した手です。
以下お互いに玉の整備をしますが、「図1」までの手順中でポイントとして、先手は▲7八金、後手は▽7二金と金を玉と反対側に上がっている事です。
序盤で大駒を交換している場合は、自陣に隙が出来ないようにするためです。後手側は更に7筋を強化すると言う意味も有り、
この構えは石田流型の備えとして定番の形と言えます。
さてこれで どちらも固い構えで手が無いように見えますが、ここで升田式石田流、狙いの一手が有ります。それが「図3」
「図3」
この▲9六角打です ここからは次章で
[2014/03/04 18:32:58] kirakira@hibiki: 本章では升田式石田流の強烈な狙い筋を見て頂く事とします
[2014/03/04 18:33:47] kirakira@hibiki:
「図1」は前章「図3」と同一局面です。この▲9六角打までの手順はやはり前章を見て頂くとして、先手の玉形ですが、
美濃囲いの金が一枚無い形で”片美濃囲い”と呼ばれる物です。 金銀二枚の囲いですが、これでも充分固い陣形です。
この▲9六角打は後手が飛車先を伸ばして来た8五の歩を取ってしまうと言うのが当面の狙いです。 まずこれを防ごうとして来た場合です。
「図1」から「図2」までの手順
▽9四角 ▲8五桂 ▽同 角 ▲8六飛 ▽9六角
▲8二飛成 ▽同 金 ▲9六歩
[2014/03/04 18:36:57] kirakira@hibiki: ▽9四角と打つのが8五の歩を守る唯一の手ですが、それでも▲8五桂と歩を取ります。
▽同角に、そこで▲8六飛と回るのが好手です。
以下、飛車角の総交換となり「図2」まで進んだ局面は後手の桂得ですが、先手の陣形には飛車角を打つ隙が無いのに対し、
後手陣はバラバラで▲6二飛打の王手金銀取りなど、キズが多く先手の有利な形勢です。
次は8五の歩を受けず後手が玉の囲いを進め、自陣の強化を図った場合です。
「図1」から「図3」までの手順
▽3三銀 ▲8五角 ▽4二金 ▲8六飛 ▽1四歩
▲6三角成 ▽8六飛 ▲7二馬
[2014/03/04 18:37:17] kirakira@hibiki:
▲8五角から▲8六飛と寄り、▲6三角成と銀を取って角を切る。これが升田式石田流の▲9六角と打った時からの狙い筋です。
後手は▽8六飛と飛車交換に来る一手ですが、そこで▲同歩と飛車を取らず、▲7二馬と金の方を取るのがポイントです。
これで飛車と金銀歩の3枚換え”二枚換えなら歩ともせよ”と格言に有るくらいですから、
この交換は大きな駒得で、更に飛車取りの先手(相手の手番で飛車取りが残っている)となっていて「図3」は断然先手有利の局面です。
[2014/03/04 22:26:44] kirakira@hibiki:
”3手目に桂を跳ねれば、鬼のように強い猛者も倒せる”と言う、ちょっと怪しげな戦法の紹介と、 その正しい応接方を解説します。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7七桂 ▽8四歩 ▲6五桂 ▽6二銀
▲7五歩 ▽6四歩 ▲2二角成 ▽同 銀 ▲5五角 ▽3三銀
▲6四角 ▽5二金右 ▲7四歩 ▽6三金 ▲7八飛 ▽6四金
▲7三歩成 ▽同 桂 ▲同桂成 ▽同 銀 ▲同飛成
[2014/03/04 22:27:04] kirakira@hibiki:
▲7六歩 ▽3四歩と互いに角道を開けた瞬間、いきなり▲7七桂と桂を跳ねるのが古来から有る”ハメ手(罠を用意して相手を陥れる)”戦法の
”鬼殺し”です。、”桂の高飛び歩の餌食”と言われますが、 そんな事はお構いなく▲6五桂と飛んで行き、▽6四歩で桂を殺しに来た時に角交換して▲5五角打。
以下狙い筋が16章の早石田戦法に似た攻撃法で、「図1」までとなり先手の勝ちと言っても良い局面となります。
早石田に桂が加わった分だけ、攻撃力が強力になっている訳です。
ここまで後手の指し手に悪い手が有ったように思えないですが、まったく成す術も無しとなっています。 これが鬼をも倒すと言う理由です。
実は普通は良い形の手が、この鬼殺しに限ってだけ悪手になっているのです。
その手は何かと言うと、これまで度々現れている▽6二銀に問題が有るのです。
この手では▽6二金が正解手です。それでは今度は逆に鬼殺しを殺します。
[2014/03/04 22:27:54] kirakira@hibiki: 「図2」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7七桂 ▽8四歩 ▲6五桂
▽6二金 ▲7五歩 ▽6四歩 ▲2二角成
▽同 銀 ▲5五角 ▽6三金
「図1」までと同じ手順で進み、後手が▲6五桂と跳ねた時に▽6二金と上がる。これで鬼殺しは、あっけなく潰れとなります。
角交換して▲5五角と打つと言う▽6四歩に対する同じ指し手に、今度は▽6三金と上がり6四の歩を守りつつ、
2二の銀に飛車のひもが付いて(駒の利き筋が別の駒につく)両方を同時に受けられて指し切り(攻めが途切れて無くなる)となり失敗です。
先ほどの▽6二銀だと「図2」の6三が銀になる訳で▲5三桂成とされて後手の不利となってしまうのです。
[2014/03/04 22:28:09] kirakira@hibiki:
このように相手が罠に嵌らず正確に受けられると、後の収拾がつかなくなるのが”ハメ手”の特徴で、
つまり引っ掛からなければ別の狙いに変える事も出来ず潰れるだけと言う物なのです。
これで鬼殺しの解説は終わり、と言うのが入門書など将棋の定跡書なんですが、私はこれでは不充分だと思っています。
なぜなら一般的に通っているこの鬼殺し封じの裏をかく手順が有るからです。それは次章で
[2014/03/05 7:05:27] kirakira@hibiki: 前章の最後で、定跡の本に載っている定番の鬼殺し退治法では解説が不充分と言った訳は、
ある変則手順が有るからです。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲7五歩 ▽8四歩 ▲7八飛 ▽8五歩
▲4八玉 ▽6二銀 ▲7七桂
[2014/03/05 7:06:42] kirakira@hibiki: 「図1」
「図1」の直前▽6二銀までは早石田や升田式石田流と同じ手順です。そして、その後手の▽6二銀を見てから▲7七桂と跳ねます。
「図1」から「図2」までの手順
▽7一銀 ▲6五桂 ▽6二金 ▲2二角成
▽同 銀 ▲7四歩 ▽同 歩 ▲5五角
「図2」
[2014/03/05 7:07:00] kirakira@hibiki: 手筋は丸暗記するのでは無く、その狙いを理解するようにしなければ意味が無いのです。
そこで鬼殺しの狙いは何かと考えた時、8二の飛車と7三の地点、それから反対の2二或いは1一の地点、これを飛角桂で速攻すると言う事です。
そこで改めて「図1」を見た時、確かに攻撃形は普通の鬼殺しよりも完成しています。ただし速攻と言う事からは手が遅れているのです。
そう考えた時、鬼殺し側の手の遅れを咎めて狙いを封じれば良いと言う事が策として浮かぶ訳です。まず▽3二金と上がります。これで狙いの一つは消えました。
そして▲6五桂と跳ねて来た時に▽7二金と7筋も強化します。
▽7二金では▽6四歩も角交換から▲5五角が両取りにならないので、▽6五歩と桂は取れますが、この局面では▽7二金の方が手堅く安全です。
▲2二角成 ▽同銀 ▲4六角と残る飛車側を狙って打ってきた時に、”角には角対抗”と言う角筋を受ける最強の受けで、
▽6四角と打った局面は鬼殺しを完封しています。更に▲6四角から再度の▲4六角には▽6三金で「図3」となり、もう先手側は万策尽きた状態になります。
[2014/03/05 7:07:25] kirakira@hibiki: 手順中先手の▲4六角は▲5五角よりこの場合は優れています。
▲5五角が両取りにならないからです。特別な利点が無ければ飛車角は遠くから睨みを利かせる方が良いのです。
このように形が変わっても、相手の狙いを一歩先に受けるようにすれば鬼殺しは打ち破る事が出来ます。
[2014/03/05 7:07:48] kirakira@hibiki: 2回に亘り鬼殺しのハメ手筋を紹介し、その受け方を解説しましたが、
改良された新鬼殺しと言う米長永世棋聖が創案した戦法が有ります。
これはハメ手では無く、立派に一戦法として成り立つ物です。
それだけに難解で変化も多いので、今回は狙い筋の一例と後手側がこれを避ける手段を見て頂き、鬼殺し編の締めとします。
「図1」までの手順
▲7六歩 △8四歩 ▲7五歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲7八飛 △7七角成 ▲同 桂
[2014/03/05 7:08:21] kirakira@hibiki:
まずこれまで解説して来た石田流系の戦法は、▲7六歩に対して▽3四歩と後手が来てくれないと使えないと言う事です。
角道が開いていないと技が掛けられないからで、2手目が▽8四歩で▲7五歩にも▽8五歩だと、 ▲7七角と通常の振り飛車のように上がらざるを得ないのです。
そして▽3四歩に▲6六歩と止めれば、これはまた別の戦型となります。寧ろ、その方が一般的で実戦例も多い戦型では有ります。
しかし新鬼殺しは、ここで意表をついて▲7八飛と振ります。
▽7七角成と角交換して▲同桂と取った「図1」が新鬼殺しの基本形です。
[2014/03/05 7:09:29] kirakira@hibiki:
まずこれまで解説して来た石田流系の戦法は、▲7六歩に対して▽3四歩と後手が来てくれないと使えないと言う事です。
角道が開いていないと技が掛けられないからで、2手目が▽8四歩で▲7五歩にも▽8五歩だと、 ▲7七角と通常の振り飛車のように上がらざるを得ないのです。
そして▽3四歩に▲6六歩と止めれば、これはまた別の戦型となります。寧ろ、その方が一般的で実戦例も多い戦型では有ります。
しかし新鬼殺しは、ここで意表をついて▲7八飛と振ります。
▽7七角成と角交換して▲同桂と取った「図1」が新鬼殺しの基本形です。
これまた一見隙だらけですが、ここまで本講座を見て頂いた方には、この形に不用意に仕掛ける手が危険極まる事は分かると思います。
「図1」では▽8六歩と突くなど、いろいろ手が見えますが、後手が仕掛けに出た場合の一例として▽5四角と打った変化を見て頂きます。
「図1」から「図2」までの手順
▽5四角 ▲5五角 ▽2二銀 ▲8五桂 ▽3三銀
▲7三桂不成
「図2」
角を手放した瞬間に▲5五角と打ち、▽2二銀と受けた時に▲8五桂とこちら側に跳びます。
▽同飛とは取れないので銀を3三に上がりますが、▲7三桂不成として先手優勢です。 不成で行くのがポイントで、ここを▲7三桂成だと▽8七飛成で成桂が遊んで失敗です。
角を手持ちにしているので、これ以外の仕掛けも、やはり同様に危険です。
それでは「図1」で▽6二金はどうかと言う事ですが、この場合は▲8八飛で別の将棋となりますが、鬼殺し以外では▽6二金は悪形になり感心しません。
角が交換されていて駒捌きが楽なため、鬼殺しと違って戦型の組み換えが可能なのです。それではどうするか
[2014/03/05 7:10:08] kirakira@hibiki: ▲7六歩 △8四歩 ▲7五歩 △8五歩 ▲7七角
△3四歩 ▲7八飛 △6二銀
「図3」
「図3」まで後手から角を交換せずに、新鬼殺しを避けるのが一番分かり易く安全な対策です。
ここで▲2二角成から▲7七桂とするのは前章で解説した対策と類似した局面となります。
また角道を開けるのを保留して玉を3二まで移動してから▽3四歩とするのも、新鬼殺しを封じる策として有効です。
その場合も「図3」でも、▲6六歩と止めて振り飛車の基本に添った別戦型を先手は選ぶ事になりますが、それはまた解説する機会が有ると思います。
[2014/03/05 9:29:33] *** 涼宮 ハルヒが矢倉5手目.png 矢倉5手目.png 矢倉5手目.png 矢倉5手目.png
矢倉5手目.pngを送信しました ***
[2014/03/05 18:18:40] kirakira@hibiki:
序盤の形1の相掛り型から、先手の利を最大限に活かそうとする”縦歩取り戦法”を御紹介します。
まず1章で少しだけ触れた、互いに飛車先を突き合ってから5手目に▲7八金とせず▲2四歩と先行した場合を解説しておきます。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲2四歩 ▽同 歩
▲同 飛 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽8七歩 ▲2三歩 ▽8八歩成
▲同 銀 ▽3五角 ▲2八飛 ▽5七角成 ▲2二歩成 ▽同 飛
▲同飛成 ▽同 銀
[2014/03/05 18:20:04] kirakira@hibiki: 14手目の▽3五角打までは1章「図2」で見て頂きました。
以下飛車が逃げ、▲2二歩成から角を取り返しますが、「図1」まで馬を作られ先手不利です。
▽8六歩に▲同歩と取る所で、▲2三歩と打てば先に角は取れますが、以下▽8七歩成 ▲2二歩成 ▽同銀となり、
後手の飛車は浮いていないので角を持っても手段が無く、結局▲2八飛と引く一手で▽8八と、と角を取り返されて、 歩を一枚損するだけとなります。
手順中▲2二歩成を▽同飛で▽同銀と取るのは、▲3六角と打たれ▽6二飛と受ける一手となりますが、 ▲5二歩打と言う絶妙手で逆転します。
「図2」に特に示しますので この歩打ちの素晴らしさを感じてみて下さい。
[2014/03/05 18:20:38] kirakira@hibiki:
この▲5二歩を▽同飛と取れば▲6三角成、それ以外の駒で取ったり▽4二玉と逃げるのは、 飛車の横利きが消え▲2二飛成で先手勝勢です。
以上の事から、相掛り手順で5手目に▲2四歩は無理で▲7八金となります。
「図3」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金
▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩
▲2六飛 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽3四歩 ▲3六飛
▽3三金
「図3」
後手の角道を開けた3四の歩を▲3六飛として狙うのが、序盤の形4の横歩取りに対して”縦歩取り戦法”と呼びます。ここからは次章で
[2014/03/05 18:21:28] kirakira@hibiki: 縦歩取り戦法は別名”ひねり飛車”と呼ばれ、今はこちらの方が一般的になっていますが、
ひねり飛車は縦歩取り以外の形からでも出来るので、この章では縦歩取りとして解説します。
[2014/03/05 18:21:50 | 18:23:51を削除しました] kirakira@hibiki: このメッセージは削除されました
[2014/03/05 18:23:56] kirakira@hibiki:
「図1」は前章「図3」と同一局面です。ここまでの手順は前章を見て下さい。序盤の形1相掛りの出だしから、
先手が飛車を2六に引き後手の飛車先を切らせないようにするのは先手の利を生かした”浮き飛車”と言う構えです。
飛車先を切れない後手は▽6二銀と上がります。今は7二に上がる方が多いのですが、
今回はこちらに上がる形で解説します。そして▽3四歩と後手が角道を開けた時、その歩を取りに▲3六飛と寄るのが縦歩取りと言う名前の由来です。
▽3三金と受けられ、大して効果が無いように見えますが、実は歩を取ると言うのは真の目的では無いのです。
また▽3三金のところ▽8四飛と飛車で受けるのは▲2七銀から銀を棒銀風に繰り出して行けば、
7筋から4筋までの歩も突けず飛車の動きも不自由で先手の指しやすい形勢となります。
「図1」から「図2」までの手順
▲9六歩 ▽4二玉 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩
▽同 飛 ▲7五歩
「図2」
▲9六歩と端歩を突いてから▲7六歩と角道を開きます。この後▲7七角とされると後手は飛車先を切れなくなるので▽8六歩と突いてきます。
そして▲同歩 ▽同飛の瞬間に▲7五歩 これが縦歩取りの第一の狙いです。
つまり▲3六飛として飛車に紐をつけておき、飛車交換を迫る訳です。
「図2」から「図3」までの手順
▽8二飛 ▲7七桂 ▽3二玉 ▲4八玉 ▽4二銀
▲9七角
「図3」
この形での飛車交換は、先手陣に飛車を打ち込む隙が無いのに比べて後手の陣形は隙が出来易く損となります。
この辺りは振り飛車対居飛車の急戦型での飛車交換と同様です。
後手は仕方なく▽8二飛と深く引きますが、そこで▲7七桂と跳ねるのが縦歩取りの次のポイントとなる一手です。
この時に9六の端歩が突いて無いと▽8七歩と打たれ、角か金を取られる事になりますので気をつけて下さい。
また▲7七桂の時に▽8六歩として次の▽8七歩成を狙って来るのは、▲8五歩と打ってから▲8六飛と歩を取ってしまえば、
後手は歩切れで8筋が受からず先手の勝勢となります。
そして、あっと驚く▲9七角 この「図3」で▽8九飛成と飛車を成られてしまうのでは、そう思われている方もいると思いますが、
しかし、これが縦歩取りの次なる狙いなのです。以下は次章で。
[2014/03/05 18:24:01] kirakira@hibiki:
「図1」は前章「図3」と同一局面です。ここまでの手順は前章を見て下さい。序盤の形1相掛りの出だしから、
先手が飛車を2六に引き後手の飛車先を切らせないようにするのは先手の利を生かした”浮き飛車”と言う構えです。
飛車先を切れない後手は▽6二銀と上がります。今は7二に上がる方が多いのですが、
今回はこちらに上がる形で解説します。そして▽3四歩と後手が角道を開けた時、その歩を取りに▲3六飛と寄るのが縦歩取りと言う名前の由来です。
▽3三金と受けられ、大して効果が無いように見えますが、実は歩を取ると言うのは真の目的では無いのです。
また▽3三金のところ▽8四飛と飛車で受けるのは▲2七銀から銀を棒銀風に繰り出して行けば、
7筋から4筋までの歩も突けず飛車の動きも不自由で先手の指しやすい形勢となります。
「図1」から「図2」までの手順
▲9六歩 ▽4二玉 ▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩
▽同 飛 ▲7五歩
「図2」
▲9六歩と端歩を突いてから▲7六歩と角道を開きます。この後▲7七角とされると後手は飛車先を切れなくなるので▽8六歩と突いてきます。
そして▲同歩 ▽同飛の瞬間に▲7五歩 これが縦歩取りの第一の狙いです。
つまり▲3六飛として飛車に紐をつけておき、飛車交換を迫る訳です。
「図2」から「図3」までの手順
▽8二飛 ▲7七桂 ▽3二玉 ▲4八玉 ▽4二銀
▲9七角
「図3」
この形での飛車交換は、先手陣に飛車を打ち込む隙が無いのに比べて後手の陣形は隙が出来易く損となります。
この辺りは振り飛車対居飛車の急戦型での飛車交換と同様です。
後手は仕方なく▽8二飛と深く引きますが、そこで▲7七桂と跳ねるのが縦歩取りの次のポイントとなる一手です。
この時に9六の端歩が突いて無いと▽8七歩と打たれ、角か金を取られる事になりますので気をつけて下さい。
また▲7七桂の時に▽8六歩として次の▽8七歩成を狙って来るのは、▲8五歩と打ってから▲8六飛と歩を取ってしまえば、
後手は歩切れで8筋が受からず先手の勝勢となります。
そして、あっと驚く▲9七角 この「図3」で▽8九飛成と飛車を成られてしまうのでは、そう思われている方もいると思いますが、
しかし、これが縦歩取りの次なる狙いなのです。以下は次章で。
[2014/03/05 18:24:49] kirakira@hibiki:
後手が角道を開けた3四の歩を▲3六飛と取りに行く、と言う一見した所何の意味も無いように見える一手から、
思いもよらない展開となって行く、縦歩取り戦法の手順中でも初めて見た時には誰もが驚くのが前章「図3」の▲9七角だと思います。
[2014/03/05 18:26:54] kirakira@hibiki:
「図1」は前章の「図3」と同一局面です。ここまでの手順は23章と24章を見て下さい。 この局面では当然ながら▽8九飛成と飛車を成る手が見える筈です。
それでは後手が飛車を成った場合はどうなるか。
「図1」から「図2」までの手順
▽8九飛成 ▲8八角 ▽7二金 ▲8六飛 ▽8三歩
▲6八金 ▽4四歩 ▲5九金 ▽4三金 ▲7八銀
▽8八龍 ▲同 飛
[2014/03/05 18:27:13] kirakira@hibiki:
▽8九飛成に▲8八角と戻すと後手の龍は動けなくなっています。次に▲8六飛と回られると、▲8一飛成が受からなくなるので、
▽7二金として▲8六飛に▽8三歩と受けますが、以下龍を殺し飛車角の交換となった「図2」では先手の優勢な局面です。
手順中▲5九金が大事な一手で、これを怠ると「図2」まで来た時に▽7九角と飛金両取りに打たれ、▲8九銀の一手となり、
▽8八角成 ▲同銀と飛車を取り返されてしまいます。このように飛成りを誘うと言うのが、縦歩取り側の罠だった訳です。
「図1」から「図3」までの手順
▽6四歩 ▲8六飛 ▽8四歩 ▲3九玉 ▽6三銀
▲7六飛 ▽7二金 ▲6六歩 ▽4四歩 ▲6五歩
▽同 歩 ▲6四歩 ▽同 銀 ▲7四歩 ▽6三金
▲6四角 ▽同 金 ▲7三歩成
[2014/03/05 18:28:00] kirakira@hibiki:
後手が罠に気づけば飛車を成って来ませんが、それも予定のうちで▲8六飛と後手の飛車にぶつけます。
これこそが縦歩取りの本当の狙いです。飛車が2四~2六~8六と飛車を、ねじるように転回させる事から”ひねり飛車”
と呼ばれる事が多いのです。ただ縦歩取りの▲3六飛を省略して飛車を左辺に持って行くひねり飛車も有るので、
今回は縦歩取りとして解説しています。後手はここでも飛車交換は不利となるので受けますが、
▽8五歩と打つのは▲同飛と取られてしまうので、▽8四歩とするしか有りません。
玉を3九に持って行き▲7六飛と7筋に回った先手の形は石田流に似た戦型となりますが、 二歩を持駒にしているのと、8筋と2筋の歩が切れている点が違っています。
対して後手の▽6三銀▽7二金は共に、この形の定番の守備です。 以下は、その持ち歩を使った攻めの一例です。
▲6四歩を▽同銀と取ると「図3」まで先手の勝勢となるので▽5四銀とかわし、▲7四歩 ▽同歩 ▲同飛と7筋の歩を切る将棋になると思いますが、
いずれにしろ後手側としては、先手にこんなに気持ち良く指されたのでは面白くありません。 そこで陣形に改良を加えてきます。
次章では、その改良陣形に対する本格的縦歩取りを見て頂く事にします。
[2014/03/05 18:28:32] kirakira@hibiki: 23章から25章までの縦歩取り戦法の手順は、
あまりにも先手のやりたい放題で後手に不満が残る為、駒組みに改良を加えて縦歩取り側に指し手の選択を制限させる策に出てきます。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀
▲3八銀 ▽3四歩 ▲3六飛 ▽3三金 ▲9六歩 ▽4二銀
▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲7五歩 ▽8二飛
▲7七桂 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4一玉
[2014/03/05 18:28:59] kirakira@hibiki:
「図1」は前章の「図1」の一手前に似ていますが、銀を7二に上がり▽9四歩と端歩を突き、玉の位置も4一になっています。
「図1」から「図2」までの手順
▲9七角 ▽9五歩 ▲同 歩 ▽8九飛成
▲8六飛 ▽同 龍 ▲同 角 ▽8五歩 ▲同 桂
▽8二飛 ▲8七歩 ▽8五飛
「図2」
「図1」で前章と同じように▲9七角とすると、▽9五歩と突き捨ててから▽8九飛成とされ、
▲8八角の時に▽9八歩打で困る事になります。▽7二銀の形が先手の▲8一飛成を防いでいるので▲8六飛が効かないのが分かると思います。
やむなく▲8六飛とここで飛車をぶつけますが、以下「図2」まで桂得で後手優勢となります。手順中▽8五歩に対し▽6二銀の形なら角取りにかまわず▲8三飛打と強く攻め合う事が出来るのですが、
この場合は後手陣に隙が無く▲同桂と取るしか無いのです。この布陣に▲9七角とするのは無理筋となります。
「図1」から「図3」までの手順
▲8五歩 ▽6四歩 ▲8六飛 ▽8三歩 ▲7六飛
▽6三銀 ▲6八銀 ▽3二玉 ▲6六歩 ▽7二金
▲6七銀 ▽8四歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8五歩
▽8二飛 ▲5六銀 ▽4四歩 ▲9七角 ▽4三金
▲4六歩 ▽5四歩 ▲6五歩 ▽5三銀 ▲4五歩
▽同 歩 ▲6四歩 ▽同銀左 ▲6五歩 ▽5三銀
▲7四歩 ▽同 歩 ▲4五銀 ▽4四歩 ▲3四銀
▽4二金 ▲2六飛
[2014/03/05 18:29:26] kirakira@hibiki: 後手が▽7二銀の形では、▲8五歩と歩を打つのが定跡となっています。
出来れば打たずに後手にだけ歩を受けさせたいのですが、この場合は仕方が無いでしょう。 攻撃力増強に銀を5六まで持って行き▲6五歩と仕掛けます。
これを▽同歩と取れば、前章の「図3」で紹介した▲6四歩打からの攻めが有るので、▽5三銀と6筋を強化しますが、 以下「図3」まで2筋が受からず先手勝勢となります。
途中▲3四銀を▽同金と取るのは▲5三角成です。このように縦歩取りは左右どちらからも攻め筋が有る優れた戦法なのです。
▽3三金と受けた形は作戦負けになり易いと言う事で、序盤で▽3四歩と突くのを保留して、 縦歩取りを避ける策が現れます。
それに対して先手も更に工夫を加える事になりますが、それは次章で。
[2014/03/06 18:25:07] kirakira@hibiki: 縦歩取りの▲3六飛を避けるため、▽3四歩と角道を開けるのを保留して来た場合、
それでも▲3六飛と寄っておく手も有り、その時の形が、猫が獲物(3四の歩)を狙ってかまえているように見えるので”猫式縦歩取り”
と呼ばれる戦型になります。しかし本章では先手も▲3六飛を省略して、後手の角道保留に対抗する作戦を見て頂く事にします。
したがって縦歩取りでは無くなりますので”ひねり飛車戦法”として解説する事にします。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀
▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲7六歩 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4二銀
▲7七桂 ▽4一玉
[2014/03/06 18:25:52] kirakira@hibiki: 後手の12手目▽7二銀に、先手が▲1六歩と端歩を突いています。
前回までは▲3八銀と上がっていました。実は現在では▲1六歩が最善とされています。
この手が最善と言う事を理解して貰うには、それまでの経緯を順番に見ていただく方が良いと思い、 前章までは▲3八銀と言う以前に指されていた手順で解説しました。
▲1六歩で▲3八銀だと、後手も▽3四歩は思わしく無いと言う事で、角道を保留して▽6四歩と突くようになったのです。
そこで▲2四歩打と再度歩を合わせて▽同歩 ▲同飛で6四の歩と▲2三歩打を狙う”十字飛車”の手筋が見えるのですが、
以下▽1四歩 ▲6四飛 ▽1三角 ▲4八玉 ▽2八歩打で「図2」になります。
[2014/03/06 18:26:32] kirakira@hibiki: この▽2八歩打で桂を取られてしまうので ”十字飛車”の手筋は不発で不利となります。
後手の▽1三角は▽2八歩打に▲2四飛と戻されない為です。 もし「図2」で▲1六歩と突かれていれば▲1七桂と逃げる事が出来るのです。
▲1六歩に後手も▽1四歩と受けますが、受けなければ▲1五歩と突き越し、ひねり飛車とは別の戦型を狙う事も出来ますが、 それはまた後の章で。
後手も先に▽1四歩と突いておけば十字飛車の▲2四歩には ▽同歩 ▲同飛 ▽6三銀と守れるので(▲2三歩打には▽1三角と逃げられる)受けています。
「図1」から「図3」までの手順
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽6三銀 ▲2五飛
▽2三歩 ▲8五飛 ▽同 飛 ▲同 桂
[2014/03/06 18:26:50] kirakira@hibiki: 後手が▲7七桂にも飛車を引かない時は、この「図3」までの手段が有ります。
▲2四歩と前述の十字飛車含みの合わせ歩で、以下▽6三銀で防がれた瞬間▲2五飛と一つ引き、
次に▲2四歩打から▲2三歩成を狙います。後手が▽2三歩打と、それを受けた時に▲8五飛と7七の桂の利きを利用して飛車交換を実現した「図3」は、
先手有利な形勢です。したがって後手も▲7七桂には飛車を引く事になります。 以下は次章で。
[2014/03/06 18:27:20] kirakira@hibiki:
この章では後手の最強の対抗策と、それに対するひねり飛車側の駒組み例を御紹介する事にします。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀
▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲7六歩 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4二銀
▲7七桂 ▽8二飛 ▲7五歩 ▽4一玉 ▲8五歩 ▽6三銀
▲7六飛 ▽3四歩 ▲3九玉 ▽3一玉 ▲6八銀 ▽3三角
[2014/03/06 18:28:04] kirakira@hibiki:
この章では後手の最強の対抗策と、それに対するひねり飛車側の駒組み例を御紹介する事にします。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀
▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀 ▽6四歩 ▲7六歩 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲9六歩 ▽9四歩 ▲4八玉 ▽4二銀
▲7七桂 ▽8二飛 ▲7五歩 ▽4一玉 ▲8五歩 ▽6三銀
▲7六飛 ▽3四歩 ▲3九玉 ▽3一玉 ▲6八銀 ▽3三角
[2014/03/06 18:30:46] kirakira@hibiki: 「図1」は▲7七桂に後手が▽8二飛と引いて自陣の整備を図った所です。
後手の▽3二金と▽4二銀の形を”金美濃”と呼び、 縦歩取りの章で解説した陣形とは比べ物にならない好形です。
「図1」から「図2」までの手順
▲6六歩 ▽2二玉 ▲6七銀 ▽7二金 ▲5六銀
▽5四銀 ▲9七角 ▽6三金
「図2」
「図2」まで進んで見ると後手陣が固く非常に好形のため、なかなか攻めの糸口が掴めない状態となります。
これこそが後手が▽3四歩を序盤で突かず狙っていた、対ひねり飛車の理想形です。
ここから▲6五歩と攻めても ▽同歩 ▲同銀に▽7七角成 ▲同飛 ▽6五銀と二枚換えされ、
後手の陣形がしっかりしているので無理筋です。この後手の布陣が優秀で、ひねり飛車の勝率が悪かったために別の手法が生み出されました。
[2014/03/06 18:31:20] kirakira@hibiki:
▲5六歩と、こちらの歩を突くのが後手の金美濃囲いに対して指されるようになった有力な手段です。
この形のポイントとしては、まず玉を2八まで持って行く事です。3九のままですと、敵の角で王手に当たる可能性が有り危険だからです。
そして銀を3七まで持って行ったこの形を”銀がさね美濃”と呼び、片美濃囲いに更に銀を縦に2枚重ねにした、 これも非常に固い陣形です。
以下は狙い筋の一つですが、角を5七に転換して更に飛車を8筋に、そして薄くなった後手の右翼を狙い、 見事に8筋から破りました。
手順中の▲9五歩からの端攻めは特に御記憶ください。▲9三歩を取らなければ▲9五香、 その後の▲9二歩を取らなければ▲9一歩成で共に先手有利となります。
このように次に成ってと金が出来る場所に打つ歩を”垂れ歩”(たれふ)と呼び、あらゆる場面で応用される重要な手筋です。
27章で触れた、相掛りの先手浮き飛車型で、後手が先手の▲1六歩に▽1四歩と受けなかった場合の急戦型戦法を御紹介します。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀
▲1六歩 ▽3四歩 ▲1五歩 ▽6四歩 ▲3八銀 ▽6三銀
▲7六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲8七歩 ▽8二飛
▲1六歩に後手が端を受けずに▽3四歩と突いてきた場合、 ▲3六飛から縦歩取りに行くのは、▲1六歩が全くの無駄手になってしまい損です。
▲1五歩と突き越し、後手の飛車先交換にも普通に▲8七歩と打ち、ひねり飛車にはせず別の戦型を目指した方が得なのです。
「図1」から「図2」までの手順
▲3六歩 ▽4二玉 ▲3七桂 ▽5四銀 ▲5八玉
▽5二金
[2014/03/08 20:01:22] kirakira@hibiki: ▲3六歩から▲3七桂と桂を活用して、すばやく攻撃態勢を整えます。
後手も▽4二玉から▽5四銀と繰り出してきます。この▽5四銀と5筋の歩の上に銀が上がる形を腰掛け銀”と言います。
▲5八玉は▲6八玉も有って難しい所ですが、超急戦を狙う場合はどこからも角筋で直接に王手が掛からない▲5八玉が良いようです。
後手も▽5二金と締まり「図2」となります。
「図2」から「図3」までの手順
▲3五歩 ▽同 歩 ▲1四歩 ▽同 歩 ▲1三歩
▽同 香 ▲2五桂▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀
▲1三桂成▽同 桂 ▲3四香 ▽3三桂 ▲1四香
▽1二歩 ▲2一角 ▽1一銀 ▲1三香成▽同 歩
▲3二角成 ▽同 玉 ▲2五桂 ▽2二銀▲3三桂成
▽同 銀 ▲同香成 ▽同 玉 ▲3四歩
まず▲3五歩と突き捨て、次に▲1四歩 ▽同歩 ▲1三歩打 ▽同香として▲2五桂と跳ねる。
これがこの形の速攻手段です。もし後手が▽1四歩と受けている場合は▲1五歩 ▽同歩と言う形なので▲2五桂の時に▽1四香と逃げられてしまい、
この攻めは無理筋となるのです。
以下は変化の一例で「図3」では先手の勝ちとなっています。
最終手の▲3四歩打に▽同玉なら▲4六桂打、下に下がるのは▲3三銀打で、また▽4四玉と逃げるのは▲2三飛成で、
後は平凡に追いかければ、いずれも寄り筋(玉を追い詰める事が出来る形)です。
もちろん他に多数変化が有りますが▲3五歩からの攻め筋は意外に受けにくく、実戦では攻めている方が勝ちやすい形ではないかと思います。
因みに「図3」の局面まで来ると ▲5八玉と上がった訳が分かると思います。もし居玉ですと、途中で▽1五角の準王手飛車取りになってしまうのです。
以上のような理由で、相掛り型での▲1六歩に後手も▽1四歩と受ける方が安全と言う事になるのです。 ▲3五歩の突き捨ては非常に重要な手筋なので良く御記憶下さい。
[2014/03/08 20:03:26] kirakira@hibiki: 前章で▲1六歩に▽1四歩と受けるのが安全なのは分かりました。
その後、先手の15手目▲3八銀に、ひねり飛車の解説では▽6四歩と後手が指していますが、
ここでは他にも手が考えられる所です。しかし実は、この後手の16手目も▽6四歩以外の手を指すのは難しいのです。それは何故なのか、 簡単に解説しておく事にします。
「図1」までの手順
▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩 ▲7八金 ▽3二金
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩 ▲2六飛 ▽7二銀
▲1六歩 ▽1四歩 ▲3八銀
[2014/03/08 20:04:03] kirakira@hibiki:
「図1」は問題の先手の15手目▲3八銀が指された局面です。ここから、まず▽8三銀と棒銀で先攻する手はどうか。
「図1」から「図2」までの手順
▽8三銀 ▲7六歩 ▽8四銀 ▲7七角 ▽7四歩
▲8八銀 ▽7五歩 ▲同 歩 ▽同 銀 ▲2五飛
▽6四銀 ▲1五歩 ▽同 歩 ▲1四歩 ▽同 香
▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛
「図2」
先手だけ飛先を切っている、この局面での棒銀は▲7六歩から▲7七角で後手は飛先が切れなくなってしまい、結果としてあまり得策では有りません。
▽7四歩に▲8八銀と上がった先手の形が、棒銀に対する有効な迎撃形で、8筋を破られる心配は無くなります。
▽7五銀と出た時に▲2五飛から▲1五歩と端攻めに出て、以下「図2」では先手優勢です。
▲1四歩に▽同香と取らなければ▲1五飛 ▽1二歩打と端を詰めて、やはり先手が優勢となります。
[2014/03/08 20:04:31] kirakira@hibiki:
先手だけ飛先を切っている、この局面での棒銀は▲7六歩から▲7七角で後手は飛先が切れなくなってしまい、結果としてあまり得策では有りません。
▽7四歩に▲8八銀と上がった先手の形が、棒銀に対する有効な迎撃形で、8筋を破られる心配は無くなります。
▽7五銀と出た時に▲2五飛から▲1五歩と端攻めに出て、以下「図2」では先手優勢です。
▲1四歩に▽同香と取らなければ▲1五飛 ▽1二歩打と端を詰めて、やはり先手が優勢となります。
「図1」で他の手として▽4二銀は▲2七銀と逆に棒銀に出られて困ります。
また▽5四歩は、ひねり飛車から▲9七角とされた時にキズになり易いですし、場合によっては▲2四歩と合わす十字飛車も狙われます。
▽4二玉とするのは、28章の金美濃に出来なくなる。それでは▽4一玉はどうか。
「図1」から「図3」までの手順
▽4一玉 ▲4六歩 ▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛
▲8七歩 ▽8二飛 ▲4七銀 ▽3四歩 ▲7六歩
▽6四歩 ▲5六銀▽8八角成 ▲同 銀 ▽2二銀
▲7七銀 ▽6三銀 ▲5八金 ▽5四銀 ▲4五銀
▽同 銀 ▲6三角 ▽4二玉 ▲4五角成
[2014/03/08 20:05:11] kirakira@hibiki:
「図3」までは、たとえばと言う手順ですが、先手が▲5六銀と腰掛け銀に変更した場合、後手の▽4一玉は位置的にバランスが良くない事になります。
この形の腰掛け銀には4二か5二が良いのです。この他にも手は有りますが、先手が如何なる戦型になっても対応出来る▽6四歩が一番損が無いのです。
以上の点から、ひねり飛車も含めて、この相掛り型では16手目▽6四歩まで、ほとんど必然と言う事になるのです。
ただし先手の13手目▲1六歩では、ひねり飛車の選択は無くなりますが、▲5八玉とする手も有ります。しかし実戦例は少なく▲1六歩が一般的です。
横歩取り戦法
[7:23:17] kirakira@hibiki: 現在のプロ棋界で最も多く指されている戦型の一つが、 序盤の形4として4章で紹介した”横歩取り戦法”です。
26章までの縦歩取り戦法は、この横歩取りに対して命名された物で、実際に歩を取る場面は実戦でも殆ど無いのですが、
横歩取りの場合は歩を取った所から多数の戦型に分かれて行く事になる激しい戦法です。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩
▲3四飛
[7:24:01] kirakira@hibiki: この「図1」の▲3四飛が横歩取りの基本形で、江戸時代から有った戦型です。
ただ昔は”横歩取り三年の患い”と言われ、 ▽2三歩と打たれたら飛車は2六か2八に下がる物で、3四の歩を取るのは欲張った悪手とされていました。
なぜかと言うと「図1」から▽8八角成 ▲同銀 ▽2五角打と角を交換して、飛車取りと4三角成を狙う手が有るからです。
▽2五角打で▽4五角打と、こちらから打つのは悪手で後手の不利となります。それでは▽4五角と打つと、どうなるか。
「図1」から「図2」までの手順
▽8八角成▲同 銀▽4五角▲3五飛▽2七角成
▲1五角 ▽4一玉 ▲3六歩 ▽1四歩 ▲4八角
[7:25:11] kirakira@hibiki: 角を4五から打つと普通に▲3五飛と逃げて▽2七角成に▲1五角と王手で打つ手が有るのです。
しかし玉を逃げられ▲3六歩と逃げ道を開けた所では、無意味な角打に見えますが、▽1四歩に▲4八角とした「図2」では、
次に▲2八歩打で後手の馬を殺す手が生じています。それが分かっていても防ぐ手が有りません。 結局▽4九馬と切らざるを得なくなります。
そうなのです▲1五角からの一連の手順は、一見無駄な手のようで、
実は後手の馬を動けなくして殺すと言う恐るべき狙いが有ったのです。したがって4五からの角打は無く、 ▽2五角打が正着と言う事になります。
「図1」から「図3」までの手順
▽8八角成▲同 銀▽2五角▲3二飛成▽同 銀
▲3八銀 ▽3三銀
「図3」
▽2五角打に▲3二飛成と、あっさり飛車を切ってしまいます。 そして▲3八銀と角成りを防ぐ、これが定跡と知らなければこれで良いとは、とても思えない手順です。
後手側も▲2二角打を防いで▽3三銀とした「図3」が、この形の基本形です。以下は次章で
[7:25:48] kirakira@hibiki:
横歩取り系の中で、後手が▽2三歩打とするのは古典定跡とも言える戦型で、今は▽8六歩と指される事が多いのですが、
最新型を知る上でも絶対に知っておく必要が有る物です。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽2三歩
▲3四飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽2五角 ▲3二飛成 ▽同 銀
▲3八銀 ▽3三銀 ▲1六歩
[7:26:17] kirakira@hibiki: 「図1」は前章の「図3」から▲1六歩と指した局面です。直前の▽3三銀にいろいろ手は有るのですが、
実は現在この▲1六歩が最善とされています。この手は次に▲3五金打で角を殺すのが狙いです。
「図1」から「図2」までの手順
▽2四歩 ▲3一金 ▽2二飛 ▲2三歩
▽同 飛 ▲3二角
「図2」
まず▽2四歩と突いて3四或いは1四から自陣に引き上げる道を作った場合は、 ▲3一金と打って2一の桂を狙うのが有効です。▽2二飛とするのが唯一の受けですが、
▲2三歩打と空いた空間に歩を打ち▽同飛に▲3二角打で先手が優勢となります。
「図1」から「図3」までの手順
▽4四歩 ▲6五角 ▽3一飛 ▲3六歩 ▽4二玉
▲3七桂 ▽5二角 ▲4六歩 ▽6四歩 ▲5六角
▽2二銀 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲2三歩
▽3三銀 ▲2二金
[7:26:56] kirakira@hibiki: 次に▽4四歩と、こちら側に逃げ道を作って来た場合は、すかさず▲6五角と打ちます。
この桂取りは▽3一飛と受けるしか有りません。この手で▽2二飛と受けるのは▲3一金打で困る事になります。
▲3六歩から▲3七桂そして▲4六歩と自陣の駒を活用して行けば、後手は2枚の飛車の活用が難しく「図3」では先手の指しやすい形勢となります。
この2例の中でも更に変化は有りますし、またこの他にも手は有るのですが、2五の角の処理が難しく「図1」は後手に苦労が多い局面です。
アマ有段者でも後手側を持って指すのは大変だと思います。
また後手の16手目▽2五角に▲3六飛と引く手も指されるようになり、 ▲2四同飛に▽2三歩と打って先手に横歩を取らせる実戦例は激減しました。
そこで、この先手の横歩取りに対抗するべく、 数々の戦法が生まれたのです。
次章からは後手が▽2三歩に変わり▽8六歩と突いて行く戦型を紹介します。
[7:27:33] kirakira@hibiki: 後手が前章で述べた▽8六歩と突く策に出た時に、先手側から一気に速攻する手が有ります。
本格的な後手▽8六歩型の解説の前に、その変化を見ていただきましょう。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛
[7:27:58] kirakira@hibiki: 後手が先手の▲2四同飛に▽8六歩と突けば「図1」までは必然です。
ここから▲3四飛と横歩を取れば、華麗で激しい闘いの幕開けとなります。 しかしこの局面から先手に速攻する手が有るのです。
「図1」から「図2」までの手順
▲2二角成 ▽同 銀 ▲7七角 ▽8九飛成
▲2二角成 ▽同 金 ▲同飛成 ▽7九龍
▲同 金 ▽7七角
[7:28:15] kirakira@hibiki: 「図1」で▲2二角成から▲7七角と打つ手が有り、一見これで先手の勝ちと見えますが、
▲2二飛成と角と金銀の二枚換えで飛車が成った時に▽7九龍とする手が有り、 ▲同金と取ると▽7七角打の王手飛車取りで後手の勝ちです。
▽7九龍を取らずに▲6九金と受けても以下▽9九龍、▲2一龍 ▽6二玉で駒損が大きく先手の敗勢となります「図3」
「図3」
「図1」で▲2二角成 ▽同銀 ▲7七角打とするのは無理筋と言う事がこれで分かりました。
しかしこの手順と筋は御記憶頂きたいと思います。別の戦型などでも類似した狙い筋が現れ、 形によっては攻めが成立する時が有るからです。
「図1」で▲3四飛とする横歩取りの主流型を次章から解説して行きます。
[7:28:35] kirakira@hibiki:
古来から有る横歩取りが、意外にも旧来からの常識に反して有力な戦法と言う事がプロのトップ棋士によって解明され、
後手の対抗策も本格的に考えられるようになったのです。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛
[7:29:28] kirakira@hibiki: 先手が飛車先を切って来た瞬間に▽8六歩と後手側も飛車先の歩を突き、
▲同歩 ▽同飛に▲3四飛と横歩を取ったこの局面が基本図となります。 次に▲2二角成とされてはそれまでなので、まず後手はこれを防がなければなりません。
「図1」から「図2」までの手順
▽8八角成▲同 銀 ▽2八歩 ▲同 銀 ▽4五角
[7:29:52] kirakira@hibiki: 角交換して▽2八歩と打ち捨て▲同銀に▽4五角と打つ、この戦型をその棋譜のまま▽4五角戦法と言います。
▽2八歩と打った訳はこれからの手順の中で解説します。
「図2」から「図3」までの手順
▲2四飛 ▽6七角成 ▲同 金 ▽8八飛成
▲2一飛成 ▽8九龍 ▲6九歩 ▽5五桂
▲6八金 ▽6七銀 ▲5八金寄 ▽7八龍
▲6八桂 ▽5八銀成 ▲同 金 ▽6七桂成
▲4五角
[7:30:24] kirakira@hibiki: ▽4五角の直接の狙いは▽6七角成から▽8八飛成ですが、
▲2四飛の時に▽6七角成とするのは「図3」の▲4五角打が攻防の好手で攻めが続かず、先手の勝勢となります。
▲2一飛成と迫られているので後手もゆっくり出来ないのです。 そこで▲2四飛に一旦▽2三歩と打つ事になります。
この時にもし▽2八歩 ▲同銀が入っていないと▲2八飛と下がられ、 飛車の横利きが8八に通り▽6七角成が無くなってしまうのです。
次章では▲2四飛に▽2三歩とした後の激しい闘いの手順を解説します。
[7:30:46] kirakira@hibiki: それでは▽4五角戦法の本格的な闘いの手順を見ていただきます。
[7:31:10] kirakira@hibiki: 「図1」は前章の「図2」と同一局面、後手が▽4五角と打った所です。
「図1」から「図2」までの手順
▲2四飛 ▽2三歩 ▲7七角 ▽8八飛成
▲同 角 ▽2四歩 ▲1一角成 ▽3三桂
▲3六香
「図2」
▲3四飛に▽2三歩打、ここで飛車が逃げると今度こそ▽6七角成で、
後手陣にキズが無く一方的に攻められる展開となり拙いので▲7七角打と飛車取りで8八の銀を守ります。
以下お互いに駒を激しく取り合って「図2」となります。昔はこの局面で先手優勢と言う事でしたが。
「図2」から「図3」までの手順
▽同 角 ▲同 歩 ▽5四香 ▲6六角 ▽4五桂
▲5六歩 ▽5七銀 ▲3三角成 ▽6二玉
▲1二飛 ▽5六香 ▲3二馬 ▽同 銀
▲同飛成 ▽5二金
[7:31:22] kirakira@hibiki:
▲3六香を▽同角と切って落とし、返す刀で▽5四香と打ちます。これが最強の反撃手段で、意外に厳しい事が分かったのです。
▲6六角と打ち▽4五桂に▲5六歩と突きます。▽同香なら▲5八歩打で受ける狙いですが▽5七銀と打たれ、
先手も▲3三角成から▲1二飛打と反撃しますが「図3」まで後手の勝勢となります。 「図3」で▲4一銀なら ▽5八飛 ▲6九玉 ▽7八飛成 以下詰み。
実は手順中の▲6六角が悪手です。正解手は次章で。
[7:31:36] kirakira@hibiki: ▽4五角戦法に対する先手の正しい応接を見ていただきます。
[7:32:04] kirakira@hibiki: 「図1」は先手が▲3六香と打った前章の「図2」と同じ局面です。
「図1」から「図2」までの手順
▽同 角 ▲同 歩 ▽5四香 ▲8五飛 ▽4五桂
▲同 飛 ▽5七香成 ▲5八歩
「図2」
後手の▽5四香には▲8五飛と打つ手が最善となり、またこの手で後手の手段を封じる事が出来ます。 ここで▽5七香成とするのは▲5八歩打で手になりません。
この時▽8八飛打が利けば後手の勝勢となるのですが、▲8五飛がこれを防ぐと共に▲8一飛成を狙っている訳です。
▽4五桂 ▲同飛で▲8一飛成を無くして飛車の位置を変えましたが、今度は1一の馬が8八に利いて「図2」では先手優勢です。
これで終わりと言いたい所ですが、この手順の中で▽5四香で▽5五香と打つ、一種のハメ手が有るので、それを解説しておきます。
▽5五香にも▽5四香の時と同じく、▲8五飛ですと▽2五飛と打つ手が有ります。 この手に▲8一飛成では▽2八飛成が厳しく先手不利となるので▲2七歩と受けますが、
そこで▽5七香不成(王手)▲5八歩打 ▽8五飛と飛車を取られて負けになります。 このような手筋を”素抜き”(すぬき)と呼びます。「図3」
[7:32:17] kirakira@hibiki: 「図3」
以前にも述べましたが、手筋と言うのは単に記憶するのでは意味が無いのです。
相手の手が変わった時に対応出来なければいけません。この▽5五香には▽5四香には悪手だった▲6六角が好手となります。
この場合は▽5四香の時と違い▽4五桂には▲5五馬で香が取れるからです。
[7:32:54] kirakira@hibiki:
前章まで解説した▽4五角戦法は、ほぼ先手が有利であろうと言う結論が現在は出ていて、少なくともプロ棋界からは消えています。
この▽4五角戦法に似た狙いながら、実は有力な別戦型が有るのです。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽3八歩
[7:33:12] kirakira@hibiki: 「図1」
▽8六歩からの横歩取り基本図より、角交換するまでは▽4五角戦法と同じですが、2八では無く▽3八歩とこちらに打つのです。
「図2」
[7:33:27] kirakira@hibiki: 「図1」から「図3」までの手順
▲2八銀 ▽2七歩 ▲同 銀 ▽3九歩成
▲同 金 ▽4五角 ▲2四飛 ▽6七角成
▲同 金 ▽8八飛成
▲2八銀と逃げるのも▽2七歩から以下「図3」まで▲同金までと同様、 やはり▽8八飛成が詰めろで先手不利となります。
「図4」
「図1」から「図4」までの手順
▲同 銀 ▽4四角 ▲8七歩 ▽7六飛 ▲7七銀
▽7四飛
▲同銀に▽4五角と打つのは▽2八歩 ▲同銀と取らせた形より、 ▲3八銀と取った形がむしろ連係が良く「図2」「図3」とは反対に先手が有利となります。
そこで▽4四角と打ち▽8八角成 ▲同金 ▽同飛成を狙います。先手が▲8七歩打と、これを防ぎ▽7六飛に▲7七銀 ▽7四飛と自然な手順で進みますが、
実はこの「図4」は既に後手優勢となっています。
[7:33:50] kirakira@hibiki: 本章では横歩取りの中では実戦例が少なく、裏定跡とも言える▽3八歩戦法の狙いとその威力を見て頂く事にします。
[7:34:13] kirakira@hibiki: 「図1」は前章「図4」と同じ局面で、後手が▽7四飛と下がった所です。
「図1」から「図2」までの手順
▲2四飛 ▽7七角成 ▲同 桂 ▽2四飛
「図2」
「図1」では次に▽2八歩打とする手が有ります。これを避ける手としては、▲2四飛 ▲3九金 ▲1六歩などが考えられますが、
そのどれを選んでも「図2」までの飛車の素抜きが有って後手が有利となるのです。 これを防ぐ▲3六飛は▽2八歩打で桂を殺され不利なのは言うまでも有りません。
この二つの狙いを同時に防ぐ手段が先手に無いのです。
実は「図1」までの手順に問題が有るのです。 この局面に至る前章での手順で、▽4四角に▲8七歩までは拙い点は有りません。
この手で▲7七角打ですと▽同角成から▽8九角打で困る事になります。
問題は次に後手が▽7六飛と横歩を取った時▲7七銀と上がったのが、普通は形良く受けて正着なのですが、 この局面に限っては悪手となっていたのです。
▲7七銀では▲7七歩打が正解です。
以下▽7四飛に「図2」までと同じく▲2四飛 ▽7七角成 ▲同銀 ▽2四飛と飛車を素抜かれても▲1五角と打ち▽2三歩打 ▲2四角 ▽同歩と飛車角を変えれば「図2」とは違って、
駒の損得が無く形勢は互角です。「図3」
[7:34:28] kirakira@hibiki: ▽3八歩戦法は冒頭に述べた通り実戦例が少なく、参考になる棋譜などもほとんど有りません。
しかしそれだけに面白いとも言えます。この▽3八歩戦法に限らず、これは横歩取り全般に言える事ですが、
戦型を知らなければ見事に決まる率が高く、多少棋力の差が有る相手にも勝つ事が出来る物なのです。
特にこの▽3八歩戦法の場合は、相手が知らない可能性が高いので一度試して見ては如何でしょう。
[7:34:49] kirakira@hibiki: 激しい展開になる事が多い横歩取りの中でも、最も過激な闘いとなる”相横歩取り戦法”を御紹介します。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽8八角成 ▲同 銀 ▽7六飛
[7:35:06] kirakira@hibiki:
▽4五角戦法また▽3八歩戦法と同様に角を交換した後、▽7六飛と歩を取り、互いに横歩を取った形になるのが相横歩取り戦法です。
「図1」から「図2」までの手順
▲7七銀 ▽7四飛 ▲同 飛 ▽同 歩 ▲4六角
▽8二角▲同角成 ▽同 銀 ▲5五角 ▽2八歩
▲8二角成 ▽2九歩成 ▲4八銀 ▽3八歩
▲8一馬 ▽3九と ▲同 銀 ▽同歩成
▲同 金 ▽8三飛 ▲8六飛 ▽同 飛
▲同 銀 ▽5五角 ▲7二銀 ▽3七角成
▲4八金 ▽3九飛 ▲4九桂 ▽4八馬
▲同 玉 ▽3六桂 ▲5九玉 ▽4九飛成
▲6八玉 ▽6二金打 ▲6一銀成 ▽同 金
▲8二飛 ▽3八龍 ▲7七玉 ▽7六銀
▲同 玉 ▽7八龍 ▲7七金
[7:35:24] kirakira@hibiki:
「図2」で先手が勝勢と言う物ですが、初級の方ですとこの局面でもまだ先手が勝ちと思えないのではないでしょうか。
「図1」では他に▲7七歩や▲7七桂と受ける手も有りますが、いずれも難解です。
実はこの【戦法図鑑】では、この難解な相横歩取りの定跡を解説するつもりはありません。
相横歩取りは変化も多く尚且つ、どの変化も激しく一手でも間違えると奈落の底と言う恐い物です。
ましてこれを仕掛けて来る相手は相当に定跡を勉強して指して来ている可能性が高いので、
こちらもかなり研究して変化を知っていないと粘る余地すら無くやられてしまいます。
そこで、この講座では初級者にお奨めの対策を伝授したいと思います。次章では、その解説をする事にしましょう。
[7:35:45] kirakira@hibiki: 相横歩取りは現在では、先手が有望な変化が多いと言う事でプロ間ではあまり指されなくなっていますが、
結論が出ている訳では無く、アマではこれを得意としている方もいます。ですから定跡を勉強して様々な変化に対応出来るようにすれば、
それはそれで将棋の面白さを味わえる非常に華やかな戦型なのですが、もっと易しい対策をと言う方に、
相手の狙いを外して緩やかな展開にする指し方を御紹介したいと思います。
[7:36:04] kirakira@hibiki: 「図1」は前章「図1」と同一局面 後手が▽7六飛と歩を取った所です。
「図1」から「図2」までの手順
▲7七銀 ▽7四飛 ▲3六飛 ▽8四飛 ▲8六歩
「図2」
▲7七銀に▽7四飛と後手が飛車をぶつけて来た時に、 さっと▲3六飛と引き飛車交換を避ける。これで後手の飛車交換から激しい展開を狙う思惑を全て外す事が出来ます。
気弱な手のようですが相手の得意を外すと言うのも立派な作戦です。 それに「図2」からの後手の指し手も意外に難しいのです。
次に先手に▲2二歩と打つ手が有るので、これを受けなければなりませんが、▽2四飛は▲1五角の準王手飛車取りで駄目ですし、
▽3三桂と上がれば▲6六角と打ち▽2四飛 ▲3三角成 ▽同金 ▲同飛成 ▽2九飛成 ▲3一龍で先手の勝ちとなります。
「図2」から「図3」までの手順
▽3三歩 ▲2六飛 ▽2二銀 ▲4八銀 ▽4四角
▲2五飛 ▽3四歩 ▲3八金 ▽2六歩 ▲7五飛
▽5二玉 ▲7六飛 ▽3三銀 ▲6六銀 ▽7二銀
▲7七桂 ▽8二飛 ▲5八玉
[7:36:20] kirakira@hibiki: 「図3」までは「図2」からの進行の一例です。
「図2」では互いに横歩を取り合っているので駒の損得は有りません。違いは先手の7、8筋と後手の2、3筋の状態です。
先手の駒の方が手が進んでいる事が分かると思います。先手の考え方としては、これを活かせるように指し進めると言うのが有利に導くポイントとなります。
▽3三歩は次に▽2四飛が有るので▲2六飛とします。後手の▽4四角は油断のならない手で▲2八飛と引くと、
▽2七歩 ▲同飛 ▽2六歩 ▲2八飛 ▽3三角成 ▲同金 ▽2七銀で敗勢となります。
▲4八銀 ▲3八金は横歩取り型では好形となる陣形の一つです。
以下「図3」となって先手が▲8六歩と受けてからの構想が明らかになり、角を手持ちにして、持ち歩の数も多いなど先手の作戦勝ちとなっています。
[7:36:32] kirakira@hibiki:
相横歩取りの定跡は非常に面白い変化を含み、これを知る事は棋力アップにつながるので、ご興味の有る方は専門の定跡書などで見てください。
しかし勝負としては相手の狙いを外すと言うのも有効な作戦となり、この戦型を仕掛ける相手は「図2」のような展開は範疇に無いせいか、
意外なほど上手く行く事が有ります。
[7:37:03] kirakira@hibiki: 横歩取りは現在のプロ棋界で、名人戦など大舞台で指される流行戦法ですが、
それは▽8五飛戦法と言う従来の形に工夫を加えた新戦法です。 これから順番に、この▽8五飛戦法までを解説して行きたいと思います。
まず一番元になった戦型が 歌手としても有名な内藤国雄九段創案の”空中戦法”と呼ばれる物です。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽8四飛
▲2六飛 ▽2二銀 ▲8七歩
[7:37:46] kirakira@hibiki: 先手が横歩を取った手に▽3三角と上がるのが空中戦法の基本の一手です。
次の▲2二角成を防ぐ手としては他に前章までの3戦法のように後手側から角交換する手や▽3三桂と上がる手などが有りますが、 この▽3三角が最も多く指されています。
▽3三角に▲3六飛と7六の歩を守り歩得を維持します。▽8四飛に▲2六飛と回りますが、
この手で先に▲8七歩を打つと▽2四飛と回られ▲2八歩打と謝る事になり損です。
▲2六飛に▽8六歩と垂らされる手が気になりますが、▲2一飛成 ▽8七歩成 ▲3三角成で先手の勝勢となるので心配有りません。
「図2」
「図1」で次に▲3三角成 ▽同桂 ▲2一角打 ▽4二玉 ▲3二角成 ▽同玉 ▲4二金と言う手が有るので、
これを防ぐ必要が有ります。ここで▽6二銀などとすると、この手順で負けとなるので要注意です。「図2」
[7:37:59] kirakira@hibiki: 「図1」から「図3」までの手順
▽5二玉 ▲5八玉 ▽7二金 ▲3八金 ▽6二銀
▲4八銀 ▽9四歩 ▲9六歩 ▽7四飛 ▲1六歩
▽1四歩
後手は▽5二玉。 これで上記の▲3三角成からの筋は▲2一角打の時に▽3一金と引く手が有って防げます。
先手も▲5八玉として互いに隙の無い陣形を築いて行きます。このように中央二段目に玉を据える構えを”中住まい”(なかずまい)と呼びます。
後手の▽7四飛は縦歩取りのように7六の歩に狙いをつけて先手の動きを牽制した手で、有力な手段です。
ここからの闘いは次章で
[7:38:23] kirakira@hibiki: 本章では空中戦法の骨子を理解してもらうための例を御紹介します。
[7:38:55] kirakira@hibiki: 「図1」は前章の「図3」と同一局面です。
「図1」から「図2」までの手順
▲7七角 ▽同角成 ▲同 桂 ▽3三桂
▲6八銀 ▽2五歩 ▲6六飛 ▽2三銀
▲8六歩 ▽2四飛 ▲2七歩 ▽3四銀
▲8五歩 ▽3五銀 ▲7五歩 ▽2六歩
▲同 歩 ▽2八歩 ▲同 金 ▽2六銀
「図2」
▽7四飛は3筋から6筋の歩を突かせず、先手の手を限定させる目的なのです。
これに対し▲7七角は、以下▲8八銀から▲8六歩そして▲8七銀と”銀冠”(ぎんかんむり)と呼ばれる布陣を目指します。
それを許すと後手が指しづらくなるので角を交換して▽3三桂から▽2五歩と抑えます。
[7:39:15] kirakira@hibiki:
下に逃げると▽7六飛と歩を取られるので▲6六飛と逃げますが、この手で▲5六飛ですと▽4五角から▽1五歩 ▲同歩 ▽1八歩を狙われます。
以下「図2」では後手の攻めの方が早く、先手不利な形勢です。
「図1」から「図3」までの手順
▲8六歩 ▽8四飛 ▲7五歩 ▽7四歩 ▲1五歩
▽2五歩 ▲3六飛 ▽7五歩 ▲1四歩 ▽1五歩
▲1七桂 ▽2三銀 ▲2二歩 ▽同 金 ▲2五桂
「図3」
「図1」では▲8六歩と突き、先に8筋から行く手も有ります。後手もここでは動きが難しいので、この歩を狙って▽8四飛と回リますが、
▲7五歩に▽7四歩で飛車の横利きが止まった時、▲1五歩と仕掛けます。
これを▽同歩とすると▲1二歩 ▽同香 ▲3三角成 ▽同桂 ▲2一角打の金香両取りが有ります。
▽2五歩は▲同飛なら角を交換した時に▽3三桂が飛車に当たると言うのが狙いです。 以下▲1七桂から桂を捌いた「図3」は先手の優勢となります。
途中の▲2二歩打は▽同角だと▲3二飛成でそれまでと言う手で絶妙の一手です。
[7:39:28] kirakira@hibiki: 以上「図1」から空中戦法の進行例を二つ見て頂きましたが、2例ともこれが絶対手では有りませんし、
形勢もこの局面の結論と言う訳では無いですが、先手、後手共に空中戦法の動きがそれぞれ分かる好例ではないかと思います。
[7:39:48] kirakira@hibiki: 前章の空中戦を元に、後手の玉形に工夫を凝らした新戦型が、中原永世十段の手により生み出されます。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽8四飛
▲2六飛 ▽2二銀 ▲8七歩 ▽4一玉
[7:40:04] kirakira@hibiki: 「図1」は前章の空中戦法と21手目▲8七歩まで同じ進行で進み、
先手の▲3三角成からの狙いを▽5二玉の中住まいでは無く▽4一玉として防いだ所です。 この一手により全く違う展開となって行きます。
「図1」から「図2」までの手順
▲5八玉 ▽5一金 ▲3八金 ▽6二銀 ▲4八銀
▽5四歩 ▲3六歩 ▽5五歩 ▲6八銀 ▽5六歩
▲6六歩 ▽6四歩 ▲7七角 ▽7四歩 ▲5六歩
▽7五歩 ▲6七銀 ▽6五歩 ▲5七銀 ▽7三桂
[7:40:16] kirakira@hibiki: ▽4一玉、▽5一金、▽6二銀で囲いは完成しますが、 この形は中原流または中原囲いと呼ばれています。
中住まいから比べると見た目以上に堅固なのと、5筋から攻勢に出られるのが特徴です。 ▽5二玉形では中央からの攻めは自玉頭を危険にさらす事になる訳です。
「図2」までは、先手が固く守勢に出た場合の一例で▽7三桂と右桂を活用し、
8から5筋にかけて広い範囲で攻勢をとります。この「図2」では形勢はまだ互角でこれからですが、 実戦では攻めている後手が勝ちやすい局面と思います。
「図1」から「図3」までの手順
▲5八玉 ▽5一金 ▲3六歩 ▽5四歩
▲3三角成 ▽同 桂 ▲3五歩 ▽5五歩
▲3八金 ▽5四飛 ▲6五角 ▽4四飛
▲8三角成 ▽6四飛 ▲7七桂 ▽3六歩
▲6八銀 ▽4五桂 ▲3六飛 ▽5四角 ▲4六飛
▽8二歩 ▲6五馬 ▽同 飛 ▲同 桂 ▽6二銀
▲5三飛
[7:40:35] kirakira@hibiki: 後手の5筋からの攻めには▲5八玉と上がった後、すぐに▲3六歩と3三の角頭を狙いに行く手が有効です。
▽5四歩には角交換して▲3五歩と桂頭に圧力を加えます。角交換をしないと▽5五歩と飛車の横利きを通されます。
後手も▽5四歩で▽6二銀とすると、▲3五歩とされて5筋が突けなくなるので、囲いを完成する間が無いのです。
以下この形では▽7四歩には▲3四歩が有る為、右桂が攻撃に参加出来ず、逆に角を打ち込む隙が後手陣に多く発生する事になるので「図3」では先手が指しやすい形勢です。
この中原流もまた、先後どちらにも多数の変化が有り、答えが出ていない空中戦法の一戦型です。
しかしもし後手の飛車の動きを、もっと楽に出来たら、更に強力な攻撃力を発揮する事が出来る上に、玉の固さが生きるのでは。そんな発想から横歩取りの、
そして将棋の歴史を塗り替えるような新戦法が生まれる事になるのです。
[7:41:00] kirakira@hibiki: 現在プロ棋戦で、タイトル戦などの大舞台でも指されるのが▽8五飛戦法と呼ばれる横歩取りの一戦型で、
中座真五段の創案で有る事から”中座飛車”とも言われる陣形です。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽2二銀
▲8七歩 ▽8五飛
[7:41:17] kirakira@hibiki:
▲3六飛に▽2二銀と先に上がり▲8七歩と打たれた時▽8五飛と引く、この不安定な飛車引きが良い手で有るはずが無い、
プロでさえそう思い、実際その第一号局では相手の棋士が「引く場所を間違えたと思った」と感想戦(対局後に検討する事)で言ったくらいでした。
しかしこの奇妙な飛車引きが、後手側の勝率が六割を超えると言う、将棋史上初の記録を残す、とてつもなく優秀な戦法となるのです。
「図1」から「図2」までの手順
▲2六飛 ▽4一玉 ▲3三角成 ▽同 桂
▲9六角 ▽6五飛 ▲6六歩 ▽6四飛
▲6五歩 ▽8四飛 ▲6三角成
[7:41:33] kirakira@hibiki:
▽2四飛が有るので▲2六飛、そして▽4一玉で前章の中原流と比べて先手の飛車が8四と8五の違いだけになりますが、
ここで角を交換して▲9六角と打つ手が有ります。手順中で▲6五歩を▽同飛と取るのは▲7七桂 ▽6四飛 ▲6五歩で桂を跳ねさせただけ損です。
「図2」で王手で馬が出来て先手優勢のようですが。
「図2」から「図3」までの手順
▽5二金 ▲2七馬 ▽4四角 ▲2四飛 ▽2三銀
▲4四飛 ▽同 歩 ▲8八銀 ▽4五歩 ▲5八金
▽6二銀 ▲7七銀 ▽6三銀 ▲6七金右
▽9四歩 ▲6八玉 ▽9五歩 ▲6六銀 ▽8六歩
▲同 歩 ▽9六歩 ▲同 歩 ▽9八歩 ▲同 香
▽9九飛 ▲8八金 ▽9六香 ▲9七歩 ▽8七歩
[7:41:47] kirakira@hibiki: ▽5二金と受けた時に先手の馬の引く位置は幾つか有りますが、何処に逃げても▽4四角と打つ手が残ります。
この時に飛車香両取りになるようにする為に9手目の▲6五歩を取らなかったのです。
▲7七桂となっていると▽4四角が無いのです。▲2四飛として、▽9九角成なら▲8四飛の狙いで両取りを防ぎますが、
▽2三銀と飛車角の交換を強要して、以下後手が指しやすい形勢となります。
▽2三銀では▽7七角成の王手で▽2四飛と飛車を素抜く手も有りますが、馬を右辺に引いた場合は「図3」までの手順で馬を封じ込め左翼を狙う方が得策です。
もし▽5二金に▲9六馬と逃げた場合は▲2四飛の時に▽7七角成とする方が良くなります。
先手の馬を相手にしないようにするのがポイントです。以上間単に先手が角交換から▲9六角と打って8五の飛車を狙う変化を解説しましたが、
他に変化は有るものの、いずれもあまり思わしい結果にはならないのです。
[7:42:16] kirakira@hibiki: 横歩取り▽8五飛戦法は、現在プロ間で盛んに指されていて次々と新手や新手法が現れ、
移り変わりも早く難しい状況ですので、この戦法の特徴が特に分かり易いと思われる局面を選んで御紹介する事にします。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三角 ▲3六飛 ▽2二銀
▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽4一玉
[7:42:31] kirakira@hibiki: この「図1」の後手陣が▽8五飛戦法の基本となります。
先手には、この形から▲5八玉と▲6八玉の二つの戦型が有ります。
「図1」から「図2」までの手順
▲5八玉 ▽6二銀 ▲3八金 ▽5一金 ▲4八銀
▽7四歩 ▲3六歩 ▽2五歩 ▲2八飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲4六歩 ▽7六飛
▲3三角成▽同 桂 ▲4七銀 ▽2六歩▲7七歩
▽8六飛 ▲8七歩 ▽8五飛 ▲2六飛 ▽2五飛
[7:42:47] kirakira@hibiki: ▽7四歩で次に▽7三桂と活用する狙いに対して、先手も▲3六歩と桂の活用を図ります。
ここで▽2五歩と8五の飛車の利きを利用して打ち、▲2八飛に▽8六歩 ▲同歩 ▽同飛と横歩を取りに行く手が有ります。
以下は後手が飛車を大きく捌き「図2」の▽2五飛で飛車交換必至で、後手優勢となります。
途中の▽2六歩を▲同飛は▽4四角が有ります。ここでの飛車交換は先手側は左翼が壁で、後手陣は固く飛車の打ちこみに強い形となっているので、
はっきり後手に分が有るのです。
「図1」から「図3」までの手順
▲6八玉 ▽6二銀 ▲3八銀 ▽5一金 ▲3六歩
▽7四歩 ▲3七桂 ▽7三桂 ▲4六歩 ▽5五飛
▲同 角 ▽同 角 ▲7七桂 ▽7五歩
[7:42:59] kirakira@hibiki:
先手が▲6八玉とした場合の一例で▽7四歩から▽7三桂で陣形を完成させて、▽5五飛と中央に飛車を据えて、先手の5筋に狙いをつけます。
以下は▲同角と取った時の変化で、これで▽4四角打の狙いも有り7筋が受けづらくなっています。 この局面では後手優勢です。
上記2例とも先手側に疑問手が有って後手有利となっていますが、 もちろん▲5八玉 ▲6八玉どちらも変化は多数有り、また先手の別な手段も考えられていて、
今も進化し続けています。正直のところ初級者の方には難解な戦法と言えますが、テレビ棋戦などでも多く現れる戦型なので、
少しでも知っておいて損は無いと思いごく簡単では有りますが、御紹介しておく事にしました。
[7:43:16] kirakira@hibiki: 前章まで後手が▽3三角と上がる空中戦法を解説して来ましたが、
後手側にはもう一つ別な指し方が有ります。採用率は低いのですが、意外に有力な戦法なので簡単に御紹介します。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲2六歩 ▽8四歩 ▲2五歩 ▽8五歩
▲7八金 ▽3二金 ▲2四歩 ▽同 歩 ▲同 飛 ▽8六歩
▲同 歩 ▽同 飛 ▲3四飛 ▽3三桂
[7:43:49] kirakira@hibiki: 前章までは先手が▲3四飛と横歩を取った時、▽3三角と上がりましたが、
ここで▽3三桂と跳ねる手も有り、これもまた後手の有力な手段となります。
「図1」から「図2」までの手順
▲2四飛 ▽4五桂 ▲2五飛 ▽5七桂成
▲2二飛成 ▽同 銀 ▲2四角
「図2」
▽3三桂に▲2四飛と戻すと▽4五桂と跳ねて決戦に出る手が生じます。 ▽4五桂に▲4八銀と守ると、▽8八角成から▽3三角と打たれて潰れですし、
また▲5八玉だと、やはり角交換の後▽3五角と打たれて負けになります。
ここでは▲2五飛と、飛車の位置を変えると同時に桂取りに当てる手が有り、
以下、飛車を切り▲2四角と王手で成桂を抜ける形になった「図2」では、まだ難しい形勢とは言え、やや先手が指しやすいと思います。
途中▽5七桂成に▲2二飛成の所 ▲5八歩などと受けたりすると、▽8八角成 ▲同銀 ▽同飛成で ▲同金なら▽6八銀打の詰みになります。
先手の▲2四飛に▽4五桂は少し無理が有り▽1四歩と突く事になりますが、以下は難解な将棋になります。
「図1」から「図3」までの手順
▲5八玉 ▽1四歩 ▲3六飛 ▽4二銀 ▲2六飛
▽8四飛 ▲3八金 ▽6二玉 ▲4八銀 ▽7二玉
▲9六歩 ▽6二金 ▲7五歩 ▽5四歩 ▲7七桂
▽5五歩 ▲8五歩 ▽5四飛 ▲8六飛 ▽8三歩
[7:44:01] kirakira@hibiki: 「図2」までの進行は先手にとっても恐い手順なので、
▽3三桂に▲5八玉と上がる手も有ります。これで▽4五桂跳ねの手は無くなり穏やかな流れになります。
なお▲5八玉で▲4八玉とするのは形を決め過ぎて損です。急戦型では▲5八玉の方が対応が広く、指し手が楽になる事が多いのです。
以下は互いの駒組みの一例ですが、いずれにしても▽3三桂戦法には決まった定跡が少なく、手将棋(その場の判断で進行する将棋)となるため、
それぞれの構想力が問われる難解な物となります。
[7:44:39] kirakira@hibiki:
今回は横歩取りと外れますが、この後の章で解説する後手側が、横歩取り模様から先手を挑発する奇襲戦法のための予備知識として、
元奨励会員(プロ養成機関の所属会員)でアマ強豪の鈴木英春氏が創案した”19手定跡”を御紹介します。
「図1」までの手順
▲7六歩 ▽3四歩 ▲4八銀 ▽8四歩 ▲5六歩 ▽8五歩
▲5七銀
[7:44:55] kirakira@hibiki: 飛車先を突かず▲4八銀と上がるのが”英春流”(えいしゅんりゅう)と呼ばれる作戦です。
後手番でも▽6二銀とする事になります。▽8五歩と伸ばして来た手にも平然と▲5七銀と上がります。
「図1」から「図2」までの手順
▽8六歩 ▲同 歩 ▽同 飛 ▲2二角成▽同 銀
▲7七角 ▽8九飛成▲2二角成▽3三角
[7:45:16] kirakira@hibiki: 「図2」
▽8六歩からの飛車先交換に▲2二角成から▲7七角 勢い後手も▽8九飛成、 そして▲2二角成に▽3三角と合わせる。激しく飛車角が飛び交います。
「図2」から「図3」までの手順
▲2一馬 ▽9九角成 ▲5五桂
[7:45:41] kirakira@hibiki: ▽3三角に角を交換せず▲2一馬 そして▽9九角成に▲5五桂打。後手も飛車角が成れて良い勝負のようですが、
「図3」の19手目で▲5五桂と打った局面では先手が勝勢となっています。
この手は▲6三桂不成の王手銀取りが狙いなので受けなければなりませんが、そこで▲1一馬とされると後手の銀損になるのです。
もちろん手順中にも変化は有りますが、それも含めて、この先手の飛車先交換を誘う必殺の手順を”19手定跡”と呼びます。
この変化は他の将棋にも似た手順が現れますが、19手定跡が最も代表的です。これを踏まえたうえで次章で解説する、
横歩取り模様からの後手の奇襲戦法を見て頂きたいと思います。